除名からのデビュー【モーリーの富山青春記⑤】

第４回「東大一直線」から続く

　「バンドメンバーと一緒にテレビに出られる！」。そんな夢をつかんだ矢先にリーダーから告げられた突然の除名宣告。まさに青天の霹靂でした。

　理由を問いただすと「俺らのクオリティーはマスコミには理解できない。テレビなんてクソだ」と言われたので「いや、俺たちがショックを与えることで、世の中を変えるんだろ」と理想論を戦わせていたんです、最初は。ところがそのうちに「このままいっても、お前のバンドになってしまう。お前だけ目立つのは嫌だ」と本音がこぼれ出た。その二段構えの論法に無性に腹が立ってしまって。こっちは「バンドの名前を売る」というまっすぐな思いで東大合格を果たしたのに、理屈をこねやがって。言いたいことがあるならハッキリ言えよって思いましたね。自分のいないところでメンバー同士が話し合い、「もう決まったことだから」と突き放されたのもショックでした。