第2回「沈黙の町」から続く

 ステージ上で「燃えろいい女」を熱唱し、大いに盛り上がった文化祭翌日から、周囲は再び勉強モードに戻りました。暗記ばかりの科目にはすぐに嫌気が差すし、自分で出した結論も疑ってしまう。スランプに陥っている間にも、授業のペースはどんどん早くなり、不安と焦りが募ります。いたたまれなくなって高岡市内の喫茶店に飛び出していくこともありました。

■カリスマとの出会い

 そんな1980年1月の日曜日、富山駅から繁華街の荒町方面へ電車通り沿いに歩いていると、一番華やかな場所に差し掛かる少し手前のライブハウス「MEDIA(メディア)」で、パンクミュージックのライブが組まれていました。特に予定もなかったので、思い切って入ってみることに。それが地元のパンク系カリスマバンド「FUNX(ファンクス)」との出会いでした。高校の制服に身を包んだ彼らは、PA(拡声装置)をフル活用した大音響の中、過激な日本語の歌詞を絶叫していました。暴力的とさえ言えるような音楽に、僕の中の何かが解放されていきました。

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