見た目はシンプルだったり、素朴だったり。でも、食材や調理工程にこだわり、格別な味を楽しめる料理があります。派手なものやおしゃれなものもいいけど、料理はやっぱり「味」が一番。「映え」ばかりを気にしているとちょっと疲れてしまいますよね。今回は、気軽に食べに行けるような、ふとした瞬間にまた食べたくなるような、そんな飾らず、気取らず、味で勝負する「愛され飯」を紹介します。(情報は取材時の内容です)
石窯で焼くパンの店 Bob(ボブ、富山市)
石窯ならではの風味を存分に
多くのパン好きに愛される石窯パンの専門店。レンガ造りの大きな石窯で、少しずつ丁寧に焼くパンは、余計なものを一切入れず、小麦粉、塩といったシン プルな食材のみを使う。
配合を変え、生地は10種類以上を用意。中でも食事によく合うハード系を中心にそろえる。人気の「石うすカンパーニュ」は、石うすでひいたミネラル豊富な小麦を加えている。外側は石窯パンならではの香ばしさ、中はもっちりとした独特の食感で、豊かな小麦の風味を楽しめる。どっしりとしたドーム型で、家族や仲間と切り分けて食べられるのも魅力。ソフト系や焼き菓子もあるので、こちらもぜひご賞味あれ。
すみれ(上市町)
郷愁を誘うシンプルな断面
昔懐かしいアルミトレイの上に、ラップで包まれたサンドイッチが並ぶ。薄焼き卵やポテトサラダを挟んだ素朴で気取らない断面が、いっそう郷愁を誘う。具材は全て手作りで、口どけのよいカスタードクリームを挟んだ「クリームサンド」が1番人気だ。
70年余り続くサンドイッチの店。かつては店主の宍戸恵美子さんと亡き夫・姑の3人で営んでいたが、今は宍戸さんが一人で切り盛りしている。「体力的にいつまで続けられるかな」と話しつつ、今年に入って新商品を作るなど、宍戸さんの意欲は尽きない。「頑張ってね、というお客さんの声が励みになっています」と笑顔を見せた。
福多屋菓子舗(黒部市)
素朴な姿に爽やかな香り
こしあんが入った求肥がシソの葉で包まれている。看板商品の「越路の旅まくら」は外も中もほぼ茶色。飾り気のないルックスだが、一口食べるとシソの香りがふわっと広がる。ほのかな塩味があんの甘さと調和し、爽やかな余韻が心地よい。
大正末期に衣類などを扱う雑貨店として創業。旅館向けの菓子製造を手掛けるようになり、さまざまな和洋菓子をそろえる。「越路の旅まくら」は約70年前から作り続け、観光客だけでなく、昔の味を懐かしんで求める地元の人も多い。時代に合わせて甘さは抑えているが、素朴な姿は変わらない。変化を重ねながら伝統を守り続ける。
まるぜん精肉(富山市)
ひき肉たっぷりお肉屋さんのコロッケ
日々の食卓に欠かせない身近なおかずといえば、コロッケ。きつね色の衣の中にホクホクのジャガイモ。華やかさはないけど、想像するだけでおなかがすいてくる。
富山市の「まるぜん精肉」は、厳選した和牛など新鮮な肉のほか、約70種類の揚げ物や総菜をそろえる。人気の「まるぜん自家製コロッケ」はひき肉がたっぷり入っており、精肉店ならでは。元々は1950年にコロッケの店として創業しており、その当時からの味を守っている。ねぎまなどの串ものや、肉の盛り合わせ(要予約)も用意している。
撮影:南部スタジオ