企業に所属しながら自宅で働く「在宅勤務者」の声をお届けした前回に引き続き、今回はフリーランスで活動する「在宅ワーカー」を代表して、富山市のイラストレーター、よしざき ようこさんにお話を伺います。1歳から小学校4年生まで3人の子育てと仕事をどのように両立しているのか。仕事内容や一日の流れ、心掛けていることなどを伺いました。

Q、イラストレーターを目指したきっかけは?

A、自分の感じたことを絵で表現するのが好きで、大学在学時から自作のポストカードをフリーマーケットなどで販売していました。就職活動も経験しましたが、企業で働くイメージが持てず、憧れていたイラストレーターを目指すことに。大学卒業後に1年間、都内の養成スクールに通ってスキルを磨きました。将来の結婚、出産を見据えたとき、子どもと過ごす時間を大切にしたいと考えたのも、フリーランスを選んだ理由の一つです。今年で活動20周年を迎えました。

Q、現在の仕事内容を教えてください。

A、コノコトの連載「はちみつ屋さんの“あまあま”子育て」の漫画を担当しているほか、直近では富山県移植推進財団さんのご依頼で、ブックカバーのイラストを手掛けました。このほか、ステッカーやパンフレットの挿絵など、基本的には単発仕事が中心です。ベビーサインに関する書籍で漫画を担当したときは、子育ての経験を生かすことができて楽しかったです。

よしざきさんが手がけた仕事の一例

お仕事の依頼は、知り合いのつてでいただくことが多いですね。駆け出しの頃は、兄や姉も依頼主とのご縁をつないでくれました。富山市民プラザさんが手作り教室の講師を募集していた際は、アポを取ってポートフォリオを見てもらいました。その後、季節ごとのイベントに関するイラスト全般に携わらせていただき、とても良い経験になりました。

Q、一日の流れを教えてください。

A、5時に起床して家事を始め、小学生2人を学校に送り出します。仕事に取り掛かれるのは、下の子(1歳)がお昼寝タイムに入る9~10時頃。お昼ごはんを挟んで、午後も少し眠ってくれるので、その間に仕事をします。集中できるのは1時間から1時間半程度です。構想を練るといった頭を使う作業や彩色は細切れにはできないので、まず何をすべきか、優先順位を決めることを大切にしています。

納期が迫っているときなどは、夕方に上の子たちが帰宅した後や夜間、早朝に仕事をすることもあります。仕事と家事・育児の時間をはっきりと区別した方が、効率が良いことは分かっているのですが…なかなか理想通りにはいきません

よしざきさんの仕事スタイル(イラスト:ご本人)

Q、在宅ワークを選んで良かったこと、難しいと感じていることは?

A、時間の融通が利くこと、仕事と家事や育児のバランスを自分でコントロールできるのが最大のメリットだと思います。子どものために時間をかけてあげられるし、学校行事にも参加しやすいです。

一方、イラストを描くだけではなく、受注時の価格交渉をはじめ、契約書や請求書の作成、確定申告など全てを自分でこなさなくてはならない難しさもあります。フリーで活動するに当たり、その辺りの知識は本で学びましたが、現実は異なることも多々ありました。適正価格をつかむのが難しく、言い値で受注していた時期もあります。家族の扶養に入らない場合は、健康保険料なども自分で支払う必要があります。

タスクの山につぶされそうになることも(同)

Q、「在宅で働きたい」と思っている人にアドバイスはありますか?

A、InstagramなどのSNSを自己アピールに活用すると良いかもしれません。自分の強みや、伝えたいことがハッキリしている場合は、かなり有効ではないでしょうか。こうした売り込みテクニックを含め、必要なスキルを自己投資のつもりで最初に身につけてしまうのもいいですね。会社勤めで育児もされている方はなかなか余裕がないと思いますが、準備のための時間を絞り出すことができれば、前に進めるように思います。