コロナ下で多様な働き方が広がる中、「在宅で働く」という選択肢に注目が集まっています。「家事や育児と両立しやすい」など、時間の融通が利くことが最大の魅力といえますが、少なからずハードルもあります。コノコト編集室に寄せられた「富山県内にも在宅ワーカーはいるのか、どのような仕事があるのか知りたい」という声にお応えするため、女性就業支援センター(富山市湊入船町)に県内の現状を聞きました。

「まず明確にしておきたいのは『在宅ワークと在宅勤務は別』ということです」と女性就業支援センター所長の山口秀子さんは言います。

コロナ下でテレワークが広まったこともあり、両者は混同されがちですが、在宅勤務は会社や組織に属しながら自宅で働くこと。一方の在宅ワークは「個人事業主(フリーランス)」として企業などから委託を受け、何かを作ったり、サービスを提供したりする働き方を指します。労働基準法といった労働保護法令の適用がなく、年金や保険も自分で加入する必要があります。

※写真はイメージです(提供:PIXTA)

富山県は製造業が多いため、自宅でできる仕事自体が少なく、在宅勤務を前提とした雇用形態を取り入れたり、在宅ワーカー向けにアウトソーシングしている企業・事業所はまだ少数。職種は全国同様、デザインやシステム関連が中心といいます。必要に応じて出社を求める「ハイブリッド型」もありますが、こちらも一部の職種に限られています。

目指すのは在宅勤務?在宅ワーク?

まずは自分が「在宅勤務」と「在宅ワーク」のどちらを希望するのか、明確にしましょう。

「在宅勤務を目指したい」という人は、ハローワークのインターネットサービスなどで「在宅勤務」を条件に探すといった手段があります(ただし、県内企業の求人数は希望者に対して少なく、狭き門と言えます)

一方、在宅ワークを始めるためには、自ら仕事を獲得しなければならず、次のような心構えが大切になります。

◎希望の職種をはっきりさせる
「在宅で何かやりたい」ではなく、自分のキャリアやスキルなどを見つめ直し、希望する職種を絞り込みましょう。

◎仕事を獲得する力を磨く
インターネットでの情報収集はもちろん、セミナーなどに積極的に参加して人脈を築きましょう。以前の勤め先に売り込んだり、知人を介して仕事を探すのも有効です。信頼のおける仲介事業者やプラットフォームに登録するという手段もあります。

◎スキルを磨く
職種にもよりますが、基本的なパソコンスキルは必須。多くの「同業者」がいる中で、武器となるスキルを身につける覚悟が必要です。

 

女性就業支援センターのキャリアコンサルタント、氷見まどかさんは「最初から安定した収入を得るのは難しい。副業として始め、軌道に乗ったら軸足を移すのがおすすめです」と話します。

なぜ在宅?まずは自己分析を

「そもそも、なぜ在宅で働きたいのか、自らを分析してみることが大切です」と氷見さん。

▶今の自分の何パーセントを仕事に割けるか?
▶重視する条件は収入?やりがい?働く時間?
▶自分には何ができて、どうなりたいのか?

など、自分にとって大切なことやセールスポイントが整理できると、理想とする働き方も見えてくると言います。

女性就業支援センターでは、働く意欲はあるけれど、育児などのさまざまな事情で働き方に制限がある女性を対象に、在宅ワークや単発・短期のお仕事、各種セミナーなどの情報提供を行っています。一歩踏み出したいけれど、何から始めていいか分からないという人は、相談に訪れてみてはいかがでしょうか。

女性就業支援センター
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