気温が上がり、熱中症に気をつけたい季節になってきました。屋外での運動や行事、外出時など、家族の体調管理にも注意が必要ですね。

熱中症のメカニズム

熱中症とは、高温環境下で体温調整がうまくできなくなり、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れて起こる障害の総称です。

体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。すると体は、汗をかくことによる気化熱や皮膚血管の拡張などによって、体の表面から空気中に熱を逃がし、体温を調節しようとします。この調節機能がうまく働かなくなると、体内に熱がたまり、熱中症が引き起こされます。

また、暑さに慣れていないと、熱中症になる危険性は高まります。

体を暑さに慣れさせよう!

暑い日が続くと、体は次第に慣れて、暑さに強くなります。これを暑熱順化(しょねつじゅんか)といいます。

暑熱順化した体は、
①発汗量が増える
②汗に含まれる塩分濃度が低下する
③皮膚血管が拡張する
④循環血液量が増加する

という4つの特徴を備えます。

すると
①体の表面から熱を逃がしやすくなる
②汗とともに出るナトリウムの量が減り、体液のバランスが崩れにくくなる
③体温の上昇を察知して、汗をかき始めるタイミングが早くなる

とされ、熱中症になるリスクは低下します。

個人差もありますが、暑熱順化が起きるまでには、数日から2週間程度かかります。熱中症の危険性が高まる前に、体を暑さに慣れさせること、無理のない範囲で汗をかくことがとても大切です。

次回は、暑熱順化を起こすのに有効な方法をお伝えします。

 

◆舘川 美貴子(たちかわ みきこ)◆

管理栄養士、公認スポーツ栄養士
富山市生まれ。中京女子大学(現 至学館大学)健康科学部栄養科学科卒業。
日本スポーツ栄養学会評議員。学生アスリートやプロスポーツ選手の栄養サポートを行っている。