子どもたちはゲームが大好きです、楽しいから当然です。子どもさんに「どんなゲームしているの?」と聞くと、楽しそうに話をしてくれます。

なぜゲームをやめられないのでしょうか?それはまず、ゲーム会社がゲームをとても面白く作っているからです。当たり前です。ゲーム会社の人たちは、ゲームを真に楽しんでほしいという願いと情熱を持って作っていると思います。それと同時に、儲けがないと会社が経営出来なくなるので、お金が儲かる様々な仕掛けをゲームに組み込んでいるのです。
ゲームが息抜きや友達づきあいで大切
子どもを取り巻く環境は大きく変化しています。外で遊びたくても大人が色々と禁止をして子どもが楽しく遊ぶ場所がなくなっている、宿題や習い事がたくさんあって忙しいなど、子どもが息抜きをする場所や時間が少なくなってしまったことで、子どもが室内で気軽に出来るゲームに向かいやすくなっています。
最近は、友達とオンライン上で一緒にゲームをすることも増えています。その場合、ゲームで遊びほうけているのではなく、友達付き合いの要素も入っていて、自分だけ途中で抜けられない、という事情も出てきます。そのため大人の都合で「○時でやめなさい」と言ったところで、単純に時間が来たからやめる、ということが難しくなってきます。


またスマホが手放せないという子どもさんの場合は、SNSなどネット上にしか自分と分かり合える人がいないこともあり、スマホが“生きる唯一の生命線”になっている事があります。
「学校で疲れたから、家で楽しいことしたい」は当たり前
私は多くの子どもたちと接し、学ぶことを楽しめていない子どもが実に多いと感じています。
本来、学ぶことは、新しい事が分かったり好奇心をくすぐったりし、子どもにとって楽しいものです。しかし今の学校では、子どもたちは「勉強はしなくてはいけないもの」と感じてしまい、学びを楽しむことができず、学校も楽しい場所ではなくなっていることが多いです。

学校が楽しくなく、疲れきって帰ってきたのですから、家ぐらいは楽しい事をしたいと思うのは当たり前、むしろ健康的とも言えるでしょう。
親御さんも仕事で色々あって疲れて、家に帰ったらホッと息抜きしたいですよね?家では心地よく過ごしたい、というのは子どもも大人も同じです。
元気の源 ほかにも見つけて
人間は好きな事や楽しい事を楽しんでいると心が元気になれます。子どもは大人以上に、それが言えます。もしも、家でゲームをやめさせたい場合には、ゲーム以上に子どもさんが楽しい!好き!と本当に思える事が家の中に必要になります。大人はゲーム以外に子どもが楽しい!と思える事を提供できているでしょうか?

森 昭憲(もり・あきのり)

県発達障害者支援センター「ほっぷ」センター長
富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 小児科部長(児童精神)・精神科部長 心理療法科長
1970年生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部医学科卒業。
内科、和漢診療を経て、精神科病院に勤務。あいち小児保健医療総合センター心療科、豊田市こども発達センター、愛知県立城山病院(児童精神・精神科)にて児童精神医学・発達障がい診療の研修。
2017年より富山県リハビリテーション病院・こども支援センターに勤務し、子どもの心の外来・精神科の診療を担当する。資格は精神科専門医・指導医、精神保健指定医