木を随所に取り入れたN邸。生活シーンに合わせて、使用する木材や色合いを部屋ごとに変え、趣が異なるのが面白い。どこに身を置いてもやさしい木のぬくもりに包まれ、心安らぐ時間が流れている。
高岡市郊外の新興住宅地に建つN邸は、黒のガルバリウムとヒバの格子が調和した品のあるたたずまい。「駐車スペースとしてだけでなく、趣味の日曜大工や道具を収納する場所としても利用できるように」と、ご主人たっての希望でインナーガレージを設けた。家族用玄関ともつながり、雨や雪にぬれずに家の中へ入ることができるのがうれしい。
LDKは、22畳の広々とした空間。存在感を放つ7寸の大黒柱が、どっしりと家を支える。家族が一日の大半を過ごす場所なので、床には丈夫なオーク材を採用した。収納もたっぷり設け、いつも空間をすっきりと保つことができる。
造作のおしゃれなカップボードを備えたキッチンは、奥さまのお気に入り。「リビングで遊ぶ子どもの様子や、田園風景を眺めながら料理ができるのがいいですね」とほほ笑む。キッチンの後ろには家事室を配置して動線も考慮した。
和室は、チェリーやマホガニーなど5種類の木材を用いた碁天井と琉球畳が、モダンな雰囲気を演出する。リビング側と玄関からつながる廊下側の2カ所に入口があり、来客がリビングを通らずに行き来できるのも便利だ。
階段を上ると、将来子ども部屋として2部屋に間仕切ることもできるフリースペース、主寝室がある。部屋ごとに床や壁などに用いる木材の種類を変え、空間によってガラリと趣が異なる。
広いリビングを1歳の娘さんが楽しそうに駆け回る。新居に移って3カ月がたつ。「アパートと違って広いので、娘も毎日生き生きとしています」とご夫婦は目を細める。すがすがしい木の香りとぬくもりに包まれた心地よい住まいには、いつも家族の笑い声がこだましている。