バレエスタジオを主宰する和田朝子さんは、宝塚歌劇団、劇団四季など全国で活躍する踊り手を育てました。 子どもたちに教える際に心掛けていたことを聞きました。

指導者自身が踊りを楽しみ、大好きであることを伝える 

躍りを習い始めた子どもには、まず、指導者である自分が踊りを楽しんで大好きであることを伝えます。満面の笑みで、子どもと一緒に踊りますね。

子どもが踊りは楽しいものだと感じてくれると、練習を続ける力になります。

また、習い始めの子どもには、大げさに褒めます。何歳になっても褒められるのはうれしいですし、やる気につながります。 

焦らせず、辛抱強く待つ 

はじめのうちは踊れなくて当たり前ですし、すぐには上達しません。私は指導者として時間を惜しまず、辛抱強く待つよう心掛けています。すると、子どもも、できるようになるまで粘り強く努力してくれます。 

練習してもなかなか上手にできない場合もありますが、一つでも良い部分を褒めると子どもが練習を頑張り、一つが二つ、さらに、三つできるようになるのです。

親御さんも、子どもを焦らせず、こつこつ努力するよう励ましてあげてください。努力する過程は、日頃の勉強や将来の仕事にも生かされます。また、子どもを褒めることも忘れずに。子どもの一番のエネルギーになるはずです。

子どもが本当に好きなものであれば、親は心の底から応援してあげてください。

注意するときは、子どもの目を見て真剣に 

子どもは疲れると集中力がなくなり、練習に嫌々取り組むことがあります。大声で叱る場合もありますが、そのときは、子どもの目を見てとにかく真剣に向き合います。

厳しさの中に「情」を持ち、「あなたならできる!」「あなたの限界が見たい」と励ましました。 

子どもには、指導者の「本気」が伝わります。私は、教え子から「先生が一生懸命だから応えたい、先生の喜ぶ顔が見たかったから頑張った」と言われたことがあり、うれしかったですね。 

第一線で活躍するプロに触れる 

月2回、東京から、第一線で活躍するプロダンサーを招いて、子どもたちに指導してもらっています。練習中の「空気」を入れ換えるというか、子どもたちに緊張感を与えたいですね。

また、「頑張れば、あのようになれる」と、目標とする存在にもしてもらいたいです。 

失敗を怖がらせない。頑張った経験は財産 

コンクール前、緊張のあまり泣き出す子どもがいます。残念な結果になることもありますが、結果に関わらず、必死に頑張った経験が人生の財産になるのです。

私は、教え子が失敗しても注意せず、「これを力に頑張れ」と励まします。人生は思い通りになりません。困難があったときに踏ん張る力になるのが、失敗を乗り越えた経験です。

先に結果を考えるのではなく、好きなことであれば、飛び込む気持ちで挑戦してほしいです。 

素直な心、協調性が大切 

人から指摘されたことを受け入れる素直な性格だと、どんどん上達します。また、協調性があって人から好かれると、誰かに教えてもらったり、教えてあげたりして、技術が伸びます。もちろん、普段、生活する上でもとても大切な心です。 

 

【プロフィル】
和田朝子(わだ・あさこ) 1936年生まれ、射水市在住。和田朝子舞踊研究所を主宰し、富山、 射水両市で教室を開く。宝塚歌劇団月組トップ娘役の海乃美月さんや、劇団四季の俳優、岡村美南さんをはじめ、プロとして活躍する多くの踊り手を育てた。ことし、研究所を「和田朝子記念 Air Ballet Studio」と改名した。 

 


皆さまの声を今後のコノコトに反映させるため、アンケートを実施しています。 ご協力いただい方の中から抽選で計50名様に、サイン色紙や伝統の技を体験できるキットなどをプレゼント!

締め切り:3月14日(月)
詳細・応募はこちら