湯の熱さに定評がある辰尾鉱泉(富山市安養寺)。営む岩田まさみさん(66)にとって、両親の時義さん(故人)とはま子さん(101)や、夫の進さん(68)ら家族の思いが詰まった場所だ。(飯野真衣香)

番台で笑顔を見せる岩田まさみさん
まきで湯を沸かす進さん

 時義さんとはま子さんは、1924年岐阜県白川村生まれ。地元の過疎化が進む中、はま子さんの兄が「マルトミ鉱泉」(富山市呉羽町)の店主だった縁で、富山に引っ越した。50歳前後だった1976年に前身「辰の湯」を買い受け、「辰尾鉱泉」を始めた。当時400軒ほどあった辰尾団地には浴室のない家が多く、辰尾鉱泉は子連れ家族でにぎわった。まさみさんは「母が番台で赤ちゃんの子守をしていた時も頻繁にあったそうです」と言う。

90代半ばまで銭湯の経営を続けた時義さん(右)とはま子さん=2017年ごろ

 辰尾鉱泉の営業が始まった頃、まさみさんは高校2年生。4人の姉は既に県外に嫁いだり就職したりしていて、富山にいたのは末っ子のまさみさんだけだった。両親が「(銭湯)次やる者おらんわ」と心配する様子をそばで見ていたまさみさん。就職してからも、母と交代で番台に座った。

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