「BOOKコンシェルジュ」では、あなたのお悩みや気分に合わせて、おすすめの本を選びます。コンシェルジュを務めるのは、富山県立図書館司書の竹内洋介さんです。
リクエスト(富山市・60代女性)
心がリラックスできる眠る前に読む短編集を紹介してください。
心がリラックスできる眠る前に読む短編集を紹介してください。

『マリアさま』(ちくま文庫)
いしいしんじ
筑摩書房 924円
いしいしんじ
筑摩書房 924円
夢と現の境漂う 現代のおとぎ話
短編は切れ味重視。目が覚めるような作品も多く、心休まるものと言われると悩みますね…。現代ファンタジーの名手いしいしんじさんの作品はいかがでしょうか。
夢と現(うつつ)の境を漂うような、それでいて不思議と読後感の穏やかな、全29編の短編集。毎日1話ずつ読んでもひと月近くは楽しめます。主人公は老人の時もあれば、またある時は犬だったり、山だったり。生物/無生物の垣根さえも易々(やすやす)と飛び越えて紡がれてゆく現代のおとぎ話を楽しんでいただけたら。

『これが生活なのかしらん』
小原晩
大和書房 1650円
小原晩
大和書房 1650円
日常のおかしみ綴る
次なるは、浮遊感のあるファンタジーとは対照的な地に足の着いた本を。新進気鋭の女性エッセイストの手による全38話の掌編エッセー。
美容師の修業時代の話、女性3人での同居の話、特に事件も起きない、ままならない日常が、小原晩さんの筆にかかると何故(なぜ)にこうも輝いて見えるのか。明日も頑張ろう、ではなく明日も何とかなるよね、という希望を見出してくれます。「生きたくなるセット」は思わず私も真似してみたりして。日常の小さなおかしみを丹念に掬(すく)い上げてくれる本です。

コンシェルジュ 竹内洋介さん
富山県立図書館係長(司書)。3児の父。動画全盛の今こそ「読書」の魅力を今一度広めたい!との野望あり。
