「BOOKコンシェルジュ」では、あなたのお悩みや気分に合わせて、おすすめの本を選びます。コンシェルジュを務めるのは、富山県立図書館司書の竹内洋介さんです。
今月のリクエスト(高岡市・60代女性)
寒くなって家で過ごす時間が増えてきました。思わず笑ってしまう本が読みたいです。
寒くなって家で過ごす時間が増えてきました。思わず笑ってしまう本が読みたいです。

『イン・ザ・プール』
奥田英朗
文春文庫 726円
強烈キャラの精神科医 伊良部が暴走
「難しいこと抜きに笑えるもの」というご依頼だと解釈しました。ならば「精神科医伊良部」シリーズはいかがでしょう。強烈なキャラの変人医師伊良部に振り回される、これまた風変わりな患者たち。
まるでコントのようなやり取りの中に、時折はっとさせられる気づきがあり、しかも過程はどうあれいつの間にか病気が緩解しているのだから、伊良部はひょっとして名医?いやそんなわけないか。直木賞受賞作『空中ブランコ』、新刊『コメンテーター』など続編もぜひ。

『ハプスブルク家の華麗なる受難(1)』
原作:あずま零 漫画:稲谷 監修:菊池良生
講談社(KCデラックス) 792円
権力闘争がコメディーに
思わず笑ってしまう、が「当事者は大真面目、でも端から見ると滑稽」という意味ならこちらがお薦め。西洋史の中でもとりわけ難解な、諸侯の権謀術数渦巻く中世の権力闘争を、かつてないほどシンプルかつあけすけに描いた問題作(誉め言葉)が待望の単行本化。
「貧乏伯爵」のルドルフがなぜかローマ王に選出されたことから始まる壮大な歴史。歴代当主の歩みを軸にツッコミを交えて進む物語の軽妙さと、専門家の時代考証を加えた歴史漫画としての重み、そのアンバランスさが見どころです。

コンシェルジュ 竹内洋介さん
富山県立図書館係長(司書)。3児の父。動画全盛の今こそ「読書」の魅力を今一度広めたい!との野望あり。
