北日本新聞「あなたの知りたい! 特報班」は、県内で出没が相次ぐクマに関するアンケートを実施した。クマと遭遇したことがある人からは「山菜採り中に遭遇した」「車のクラクションを鳴らしても逃げなかった」など生々しい体験談が寄せられた。対策として森林整備などによるえさ不足解消を求める意見がある一方で、県内を含む全国各地で人身被害が発生していることから「もうクマとの戦争に近い」「クマ被害はテロレベル」と強い危機感を持っている人が目立った。

 アンケートは10月28日から11月9日にかけて実施し、214人が回答。クマとの遭遇経験の有無や相次ぐ出没に対して感じていること、行政に求めることなどを尋ねる設問に対しては、クマによる被害を自分事としてとらえている切実な回答が数多く寄せられた。

ツキノワグマ(画像提供:PIXTA)

食べに来ているのは確実

 立山町の80代女性は「柿や栗は収穫が終わったが、家の後ろにイチョウの大木があり、村のあちこちに、銀杏の入ったクマのふんが落ちているらしい。食べに来ているのは確実です」と回答。さらに「銀杏は鈴なりで、落果が終わるのはまだ先。イチョウの大木を切るべきか迷っています。切るとしてもおおごとです。山里の木を切ったら、クマはさらに食べ物を求めて、市街地の方へ出て行くのでは」と心配した。

 富山市の60代男性は、今年4月に富山市山間部で山菜採り中にクマと遭遇したという。「電柱2本程離れたところに斜面から突然クマが出て来て1〜2分にらみ合い、そのうちクマがうなり始めたのでゆっくり後ずさりして車に逃げ込み難を逃れた」と恐怖の瞬間を振り返りつつ、「もう少し(10年)早く駆除できていればここまで増えなかったのでは。動物保護がかえってクマの居場所をなくしてしまった感じです」と心情は複雑だ。

子どもも先生も疲弊…

 富山市でクマが駆除された際、「息子が学校の教室から走るクマを見た」という40代女性もいた。女性は子どもを毎日送迎しているため、仕事にも支障が出ているそうだ。「子どもも先生も疲弊しています。AIカメラや河川敷の除草など行政も対策していたのでしょうが、もっと別な対応をしなければ来年も心配」と心を痛める。

 南砺市の30代女性は、クマ出没の状況を踏まえ、集団登校では児童の生命を守るには限界があるため「スクールバスの運営を柔軟にすべき。統合する小中学校の場所をどこにするかもよく考えて選定してほしい」と指摘した。

 山間部を車で走行中に道の脇でえさを食べているクマを目撃した富山市の50代男性は「車に乗ったまま2メートル程まで近づいたが逃げず、車のクラクションを鳴らしても逃げなかった」と驚く。「クマは臆病なので音を立てれば去っていくといった話はうそなのかと思い熊鈴の効果に疑問を感じた」と〝常識〟が通用しなかったリアルな体験を振り返った。

 富山市の60代男性は10月下旬の未明に新聞配達中にクマと遭遇した。「車の中から懐中電灯で照らしたら逃げて行った。常に辺りに注意して新聞配達をするしかないと思っています。神出鬼没で行政の方達も大変だと思うので今以上を望むのは酷」と関係者を思いやった。

射殺反対派だったが…

 過去に親族が襲われたことがあるという富山市の40代女性は

残り3353文字(全文:4700文字)