カターレ富山が4日のJ2第32節・藤枝戦で10試合ぶりに勝利を挙げ、J2残留へ望みをつないだ。降格圏を脱出するには残り6試合でさらに白星を重ねなければならないが、浮上へのきっかけはつかんだ。その激闘の模様をレポートする。
カターレの勝利は、7月5日の第22節・仙台戦以来2カ月ぶり。この間は4連敗を含む2分7敗。引き分けるのもままならない不調に陥り、残留ラインの17位が遠ざかりつつあった。今季6勝目となる今回の白星によって19位から18位に浮上し、17位・大分との勝点差が7に縮まった。残り6試合での逆転は容易ではないが、復調へのきっかけをつかんだという点でも大きな1勝だ。「(残留に向けて)『いけるぞ』という気持ちが強くなっている。残り試合の対戦相手を考えても(大分は上位との対戦を数多く残しており)可能性は十分にある」(DF神山京右)とムードが高まっている。

キャプテンが古巣相手に大仕事
後半6分、勝利を引き寄せる先取点を決めたのはキャプテンのMF吉平翼。スローインに走り込んだMF佐々木陽次がゴール右から折り返したボールを頭で押し込んだ。「自分は決めるだけだった。スローインした布施谷(翔)選手と佐々木選手が良いコンビネーションでチャンスをつくってくれた。タイミングを遅らせてゴール前に入っていったところに良いボールが来た。シュートコースも見えていて冷静に決めることができた。ヘディングでの得点は自身Jリーグ初だと思う」と話す。

吉平は19、20年に藤枝に所属し、カターレに移籍後の21、22年にもアウェーでの古巣戦で得点を決めていた。藤枝が23年にJ2に昇格したため当地での対戦は3年ぶりだったが再び勝負強さを発揮。「相性の良さが変わっていなければいいなと思いながら、チャンスはあるだろうから積極的にシュートを狙っていこうとは考えていた。藤枝時代の僕はやんちゃで、自分が得点を決めることばかりを考えているような選手だった。今、キャプテンを務めているなんて当時を知る人には信じられないだろう。成長した姿を見せられたかな」とほほ笑んだ。