南砺市寺家新屋敷のショッピングセンター「ア・ミュー」内に「かずぽん書店」がオープンしてから1カ月がたった。福野地域唯一の書店が今春に姿を消し、「まちから本屋がなくなる」と心配の声が上がる中、食品スーパーを営む地元の三喜有(中西一夫社長)が参入し、書店の灯を再びともした。まったくの異業種からの参入は極めて異例の挑戦。古里の書店文化を守ろうと奮闘する姿を追った。
北陸初の試み

かずぽん書店を開店するまでの経緯を語る中西社長=南砺市寺家新屋敷
きっかけは「福野から本屋がなくなるのはさみしい」という思いだった。以前の書店の閉店後、ア・ミューの運営会社は県内外の書店に出店を打診したが誘致は難航した。そんな中、スーパー「サンキュー」を運営し、キーテナントとしてア・ミューを支えてきた三喜有が「古里の書店文化を守りたい」と参入を決断した。出版取次大手トーハン北陸支店によれば、食品スーパーが書店を経営するのは北陸では初めてだという。
スーパーならではの工夫

学生が利用できる学習スペースも店内の一角に設けた
店名は中西社長の愛称にちなむ。約260平方メートルの売り場には、以前の書店の2倍となる約1万5千冊の本と文具3千点をそろえた。特に児童書や絵本を増やし、学習スペースも設けるなど、家族連れや学生が立ち寄りやすい工夫を凝らす。
スーパーで培ったノウハウも生かす。
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