魚津市でベニズワイガニ漁が本格化した9月下旬、漁を終えた漁船が魚津港に帰港する様子を目にした。まばゆい朝の光が差し込み始める中、鮮やかな朱色の輝きを放つカニが次々に水揚げされ、漁港内は活気にあふれた。漁は冬のピークに向け、さらに盛んになっている。

日の出前から始まるベニズワイガニ漁=9月24日午前5時半ごろ、魚津港
魚津は県内最多のベニズワイガニ漁獲量を誇る。県水産情報システムによると、魚津港では2024年は約130トンを水揚げ、県内全体の50%以上を占めている。「カニかご漁」発祥の地であることが大きな理由だ。
効率良い漁法 全国に広がる
カニかご漁とは、餌を仕掛けたかごを海底に沈め、誘われて入ったカニをかごごと引き揚げる漁法。1962年に地元漁業者の故・浜多虎松さんが考案した。浜多さんは竹を加工して自らかごを作ったと言われている。それまで行われていた刺し網漁では、カニを網から取り外したり、破れた網を仕立て直したりと多くの時間と労力を要した。かごに入ったカニを漁獲し、すぐに海底に仕掛け直せるカニかご漁は作業効率が良いとされた。カニに傷が付かず鮮度も保てるとして、全国へと一気に広がった。
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