和紙のアート作品のシリーズ「BIRUDAN」で大阪・関西万博の迎賓館を彩ってきた立山町虫谷の和紙職人、川原隆邦さん(44)のシリーズ最終作となる富山県をテーマにした7作目の展示が16日始まった。富山編は2部作で、前期では和紙に同町白岩で収穫した酒米の稲穂をすき込み黄金色に輝く風景を、後期では得意とする月をテーマに、磨いた米粒を星に見立てた作品を展示する。

 作品発表の場は、迎賓館のエントランス。川原さんが日本各地を訪れて厳選した富山など7都道府県の素材を使い、日本の自然や風土を表現した縦1・5メートル、幅6・5メートルの作品を、会期中に入れ替えながら発表してきた。制作を通して和紙の新たな可能性を探る狙いがある。

 富山編は16日から来月13日までを前後期に分けて展示。タイトルは「The Golden Harvest(ザ・ゴールデン・ハーベスト)」と「Astral Compass(アストラル・コンパス)」。

 いずれも富山の自然の恵みに着想を得た。前期作はコメの収穫時期に合わせた実りの作品。後期は月夜の空を羅針盤に見立てた未来へと続く世界観を感じさせる作品で、上下に組み合わせると月夜の風景が完成する。川原さんは作品に自身と稲穂を重ね合わせたといい、「タイトルの通り、集大成にふさわしい成果になり、今後の制作活動の道しるべにもなった」と語る。

 webunプラスで川原さんが各作品を連載で解説しており、富山編も紹介する。