第97回春季県高校野球大会(4月19日~5月4日)は、富山第一が9年ぶり5度目の優勝を飾って幕を閉じた。各校の実力が接近してロースコアの締まった試合が多く、コールドゲームが減少し、ベスト8の顔ぶれも大きく入れ替わった。好投手が力を発揮し、打撃面でも低反発バットに順応して向上がうかがえた。甲子園出場をかけた夏の戦いが楽しみだ。

高校野球記事まとめ

 42校38チームが参加。全37試合のうちコールドゲームは9試合で、準々決勝以降はなく、3回戦以降でも2試合と少なかった。昨秋の12試合から減少し、昨春の17試合からはほぼ半減。各校のチーム力が拮抗していたのに加え、組み合わせや春季大会特有の投高打低傾向などさまざま要因が考えられる。その一つに挙げたいのが投球術の向上だ。100㌔前後の遅い変化球を数多く交え、緩急差を効果的に使って打たせて取ろうとする投手が明らかに増えた。低反発バットの導入から1年が経過し、打者のタイミングとバットの芯を外す有効性が再認識されて投球スタイルが変化している。優勝した富山第一の和泉詩大投手は、130㌔台後半の直球をあえて見せ球に使いつつ変化球中心に打たせて取った。準優勝した富山北部の船屋侑理は、120㌔前後の直球を速く見せようと90㌔台のカーブを交えて好投した。

大会序盤から1点を争う接戦が数多く展開された

 かといって打撃が低調だったかといえばそうでもなく、昨秋の大会に比べて強い打球が増えた。春季県大会における1試合最多安打の新記録37本が準決勝の富山北部―不二越工戦で生まれたのは象徴的だ。本塁打は呉羽・富山南・富山西連合の木下健介(富山南)、桜井の松田誠太が放った2本(昨春はランニング3本を含む7本)で、昨秋の6本を下回ったが、夏に向けて長打力も上がってくるはず。夏の甲子園を目指した投打の対決が今から楽しみだ

投手陣安定の富山第一が秋春連覇

 富山第一は昨秋に続いて県大会を制覇した。

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