1858(安政5)年に発生し、越中に大きな被害をもたらした飛越地震。発生日と伝わる4月9日(旧暦2月26日)に合わせ、常願寺川沿岸に点在する自然災害伝承碑を訪れ、今も残る被害の痕跡をたどった。
自然災害伝承碑は、過去に発生した洪水や土砂災害、地震などの様子や被害状況が記載されている石碑やモニュメント。国土地理院が市区町村長からの申請を受けて伝承碑の位置や伝承の内容を地図にまとめており、富山市と立山町には飛越地震の伝承碑が計6カ所ある。
大場の大転石(富山市西番)
飛越地震は跡津川断層が震源と推定される大地震で、立山連峰の大鳶山(おおとんびやま)、小鳶山(ことんびやま)が崩落し、立山カルデラに大量の土砂が流れ込んだ。この「鳶崩れ」で常願寺川源流部に当たる「湯川」「真川」などがせき止められ大規模な天然ダムが発生。4月23日と6月7日の2度にわたり決壊し、富山平野に大きな被害をもたらした。
大場の大転石は6月7日の大洪水で運ばれたとされる。この石以外にも富山平野を襲った土石流の痕跡として、常願寺川扇状地には直径約4~7メートルの巨石が40数個分布しているという。

大場の大転石
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