学校に行きづらい小中学生の居場所の選択肢を増やそうと、県教育委員会では2024年度から小中学生がフリースクールでの活動を行うために必要な経費を補助する事業を始めました。フリースクールへの通所が保護者の経済的な負担になっているケースを踏まえての取り組みです。これまでに100件以上の申請がありました。

利用料補助は子どもたちの居場所の選択肢を増やすのが狙い(画像はイメージです)

全国でも珍しい全世帯の子どもたちが対象

フリースクールとは、学校以外で勉強したり、友達と過ごしたりすることができる民間の教育施設です。一定の要件を満たせば、フリースクールへの通所が在籍する学校での「出席」として認められます。

利用料は活動内容・利用時間に応じて施設ごとに幅広く設定されており、月額制やチケット制など、料金体系もさまざまです。2015年に文部科学省が全国のフリースクールなど319の民間の教育団体・施設に行った調査によると、会費(授業料)は月額を決めている場合で平均約3万3000円でした。

県教委の事業では毎月1万5千円を上限に最大で利用料の半額を補助します。複数の施設に通っていても子ども1人当たりの上限額は同じです。保護者の所得にかかわらず、全ての世帯が補助を受けられるのは全国でも珍しい取り組みです。

フリースクールの利用料は施設で金額や料金体系が大きく異なる(画像はイメージです)

ガイドラインに適合かつ「出席」が要件

ただし補助の対象となるには、県教委が定めたガイドラインにのっとった施設を利用し、在籍する学校が通所を「出席」として認めていることが必要です。そのため、夏休みをはじめとした長期休業や土日祝日、平日の夜間など、学校の出席扱いにならない日時では基本的に補助は受けられません。

ガイドラインでは施設側に対し、不登校の小中学生の相談や指導をメインの目的としていることや、学校や家庭との連携を図ることなどを求めています。個々の学力を伸ばすための学習塾は対象外です。

関係者のサポート体制づくりへ

補助事業は1学期分で約100件の利用がありました。県教育委員会は「一定のニーズがあった」とし「子どもたちを中心に、学校がフリースクールや保護者と積極的に情報を共有し、サポートする体制づくりにつなげたい」と話しています。
問い合わせは県教育委員会教育みらい室児童生徒支援担当、電話076(444)3452。

次回は富山市が2024年度から始めた「校内サポートルーム」の取り組みを紹介します。学校での教室以外の居場所づくりが進んでいるようです。10日公開予定です。