28年ぶりに同日選となった富山県知事選と衆院選。県議補選高岡市選挙区もあり、27日はまれに見るトリプル選となる。

衆院選、知事選、県議補選のトリプル選となり、掲示板が三つ並ぶ=高岡市御馬出町の高峰公園前

 報道は連日ヒートアップしているが、テレビなどで投票日によく見られるのが開票率1%程度での当確。「1%しか開いていないのにどうして当選確実と言い切れるの?」「残り99%の票の大半が相手候補という可能性も捨て切れないのでは?」なんて疑問も聞こえてきそうだ。実は大鍋を一口味見するだけで全体の味がほぼ正確に分かるのと似たような理屈が隠されている。当確情報のからくりを高校の文系数学の範囲内で記者が分析してみた。

朝日町名物のたら汁を調理する地元の女性。大鍋の味見と選挙分析には共通点があるようだ

生徒の身長を例に

 今回は知事選や県議補選高岡市選挙区のような2人の候補者(AとBとする)による一騎打ちの選挙戦を考えてみたい。どの候補に何票集まったかの「真値」は全部開票するまで分からない。そこで全体の投票総数に当たる母集団から一部(サンプル)をランダムに取り出し、その中身から全体を予測する「推定」という統計の手法を用いる。

 学校の生徒の身長を例に挙げると、全学年の平均身長と適当に選んだ何人かの平均身長が完全に同じ数字ということはほぼあり得ない。そこで、平均値をピンポイントでズバリ推測する「点推定」ではなく、線のように幅を持たせて推定する「区間推定」という方法を取る。例えば、全学年の平均身長は160~170センチの間に含まれているだろうと推測する考え方だ。

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