県美術館で開かれているアートと数学の美の融合「エッシャー展」に足を運んだ。向きを変えながら動物を蜂の巣のように隙間なく敷き詰めた作品や、精微に描かれた昆虫たち、メビウスの輪をアリが上り下りしているものなど数学構造を駆使したトリッキーな絵が続々…。「ふしぎの国」に迷い込んだアリスになった気分で歩を進めた。美術担当記者に聞くと「だまし絵だけでなく、エッシャーが魅せられたイタリアの風景版画も見どころ。イタリアを離れざるを得なくなったときの心情と作風の移り変わりに思いをはせながら鑑賞すると一層面白い」と足跡をたどる見方を教えてくれた。一風変わった体験コーナーもあり、無限の世界観を体感できる「鏡の部屋」では、面白がっているうちに鏡に頭をゴッツンするハプニングも…。めくるめくテーマパークのように楽しめる新感覚の美術展だった。


エッシャーに限らず、絵画と数学は意外と深い関わりがある。葛飾北斎の代表作「富嶽三十六景」も感性や独創性に訴えた風景画のようだが、実は直線と円弧によって幾何学的に描いたとされている。レオナルド・ダ・ビンチの有名作「モナリザ」も顔の横と縦の輪郭比率が人間が見て最も美しいとされる1:1.618の「黄金比」に基づいている。芸術にとどまらず、数学はスポーツなどあらゆるジャンルで親和性が高い。今回は大相撲夏場所が開催中ということで、相撲と数学にまつわるネタを一つ。初日、横綱大関陣が総崩れという昭和以降初の幕開けとなり、大混戦が予想される。そうなると千秋楽に巴(ともえ)戦なんて展開もあり得る。そこで、今回は巴戦の公平性を確率の計算式でひもとく。