土砂と流木が、地震で傷ついた大地を容赦なく覆っていた。元日の能登半島地震に加え、9月21日の豪雨災害で大きな被害を受けた石川県珠洲市を10月2日、歩いた。取材を通して見えてきたのは、復興への道のりの長さだった。(文・新井翔大、写真・石黒航大)

 富山市内の北日本新聞社を出発したのは朝5時。被災地支援を続ける市民団体「ふっこうのおと」(富山市、小林仁代表)に同行し、石川県珠洲市を目指した。

 午前9時半ごろに珠洲市に入ると、崩れたままの住宅が多く目に付くようになった。周囲からは、崩れた建物を解体する重機の音が響く。

地震で隆起したエリアにある鵜飼大橋。豪雨で流されたとみられる大量の流木が絡みついていた=2日午前9時50分ごろ、珠洲市宝立町

 同市宝立町で車を止め、街を歩いた。歩き出してすぐ、車両通行止めの橋にぶつかった。地区を流れる鵜飼川に架かる鵜飼大橋だ。元日の能登半島地震による破損が著しく、橋脚には豪雨で流されてきた流木が大量に絡みついていた。

 近くで営業中の銭湯を見つけた。

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