氷見市の「民宿あおまさ」でおかみを務める青木栄美子さんは、フリーアナウンサーとしても活動しています。「一つに集中した方がいいんじゃないか」という声があったそうですが、青木さんは、民宿おかみとアナウンサーの二刀流にメリットを感じています。(情報は取材時の内容です)

—キャリアの始まりは、アナウンサーからなんですね。
小さい頃、雑誌「Seventeen」(セブンティーン)に憧れてオーディションを受け、落ちた経験があります。厳しい指摘をされ、容姿だけでなく、何か一芸を身に付ける必要があると感じたんです。富山市の芸能事務所に入り、アナウンスを勉強したことが今につながっています。
NHK富山放送局や富山テレビ放送などで、アナウンサーやキャスターとして勤めました。ニュースをお伝えするほか、生活情報の取材を企画したり編集したりしました。今はフリーです。アナウンサーのキャリアは13年目ですね。
—どうして民宿のおかみに?
祖父が創業して50年続く民宿なんですが、継ぐつもりは元々ありませんでした。結婚が決まった頃、新型コロナウイルス禍でダメージを受けて畳む話が出ていました。ですが旦那さんが「家族と一緒にやってみたい」と提案してくれたんです。こう言ってくれるんだからと思って、昨春おかみになりました。接客や調理が仕事です。

—二刀流として働く不安はありましたか。
二刀流の良さがあると私は思っていて。アナウンサーやキャスターとして勤めていた頃、生活情報として食べ物を多く取り上げ、地元の生産者に直接取材しました。民宿では、地元の海鮮を多く使った料理を出していて、取材で勉強した情報をお客さんに分かりやすくお伝えできます。

例えば、ホタルイカは深海300mから上がってきているんですよ、とか。ホタルイカやシロエビの漁船にも乗ったので、捕る苦労を体感しています。私は酔って大変でしたけど(笑)、漁師さんは慣れていらっしゃって、すごさを感じました。そういう体験もお伝えできます。
—取材で得た知識や体験を聞いたお客さんは、料理をよりおいしく感じられるでしょうね。
ありがとうございます。二刀流の自分ならではの強みだと思っています。
1989年氷見市生まれ。富山国際大卒業後、2012年からアナウンサーやキャスターとして、NHK富山放送局や金沢放送局、富山テレビ放送で活躍。2021年、フリーアナウンサーに転身。23年春から、民宿あおまさの3代目を務める。一目置く二刀流の人は、ダンススクール講師・バルーンパフォーマーとして県内で活動する「イカのみっちゃん」。
撮影:南部スタジオ