日本ハンドボールリーグから生まれ変わった「リーグH」は今月開幕し、2年連続して優勝決定プレーオフに進んでいる女子のプレステージ・インターナショナル「アランマーレ富山」は23日の第5節終了時点で4戦全勝とし首位に浮上した。T`SCENEは初の日本一へ邁進するアランマーレの戦いぶりを随時紹介する。今回は就任4年目となる福田丈ヘッドコーチ(HC)がチームづくりの構想を語ったロングインタビューをお届けする。(赤壁逸朗)

――今季への準備を進めるうえで昨季をどのように総括したのか。
初めてプレーオフに進出した22年度は、北國銀行(現北國ハニービー石川)を除くと上位ともほぼ互角の勝ち負けだったが、我々がチャレンジャーで恐れるものがなく、「当たって砕けろ」みたいな勢いがうまく作用した。しかし昨季はプレーオフには必ずいけるぐらいの地力が付いてきた一方で、「負けられない」というプレッシャーも感じるようになって思い切ったプレーができない面がでてきた。縮こまったプレーだと、やはりソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(ブルーサクヤ鹿児島)、オムロン(熊本ビューストピンディーズ)といった上位には勝ち切れない。土台のレベルが我々のほうが下であることが表面化したシーズンだったのかなと思う。
実力はあって、勝てる可能性もあるが、確実に勝てるまでのベースはまだ整っていなかった。5月末のプレーオフから今季の開幕までは約3カ月しかなかったが、その点を自覚したうえでトレーニングをし、上位に勝てるだけの地力は付いてきたと思う。レギュラーシーズンでしっかりと勝ちにいき、さらにプレーオフでも勝つ、そういうシーズンを理想像として描いている。
圧倒的な攻撃目指し頭脳戦磨く
――開幕に向けてどういった面のレベルアップに取り組んだのか。
攻撃面での安定感と高いクオリティーの維持が大きなテーマだった。昨季は守りで粘れたから負け数は少なかったものの、攻撃には課題が多かった。チームとしても選手個々としても、攻撃が機能した試合とそうでなかった試合があり、その波がかなり大きかった。