かつて主流だったフィルムカメラが再び熱視線を浴びている。年々高性能化するデジタルカメラやスマートフォンでは鮮明な写真が手軽に撮れるが、フィルム特有のボケや甘い描写がかえって新鮮に映り、若い女性らを「エモい」と魅了している。リコーが今夏、「SNS世代」をターゲットにフィルムカメラを21年ぶりに発売したことも話題を呼んだ。手にしたときの重厚感やレトロなデザインのボディーも人気の理由。デジタル化で便利になりすぎた今、撮影にかかる手間暇も「楽しいひととき」になっているようだ。

フィルムカメラで何気ない日常を味わい深く切り取る
キレイはもう飽きた?
「若い人たちはデジカメやスマホのただキレイなだけの写真に飽きているのでしょうか。フィルム写真のボケがかえって面白いようです」。そう話すのはファイブスターカメラ(富山市太郎丸西町)取締役西日本統括事業部長の四十万甲明さん(40)。レトロな風合いのオールドレンズで撮ったピンボケやブレなどがある一見失敗作のような仕上がりが「面白い」と受けていると指摘する。
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