2024年1月1日。能登半島地震は多くの人の暮らしを壊しました。富山県内では氷見・高岡が大きく被災しました。でも、そこには震災に負けない人たちがいます。立ち上がろうとする人たちがいます。そんな人たちに会いに行きませんか。変わらずおいしいご飯を食べに行きませんか。ゼロニイは氷見・高岡が超好きです。(情報は取材時の内容です)

麺処 よしだや(氷見市)

こだわりが詰まった一杯を守り続ける

「天ぷらうどん」(970円) かつおだしの香りが湯気とともに立ち上る。うどんのつゆには、氷見の醸造所「菖池(しょうぶいけ)商店」のしょうゆを開店当初から使っている

 「小麦粉と塩水を混ぜて、寝かせて、延ばして切る。見て学んだことを忠実に守っています」と話すのは、3代目の吉田和広さん。「麺処 よしだや」は、創業70余年の大衆食堂「お食事処 よしだや」(氷見市中央町)の麺と丼物の専門店として営業している。開店当初から変わらない味で、町の人に親しまれている。

「カレーうどん」(860円) 数種類のスパイスとカレー粉をブレンドした本格的な味わい。野菜のコクとスパイスの風味が絡み合う。リピーター多数の人気メニュー

 麺は3種類の小麦粉を混ぜ合わせて作っており、かむたびに小麦の風味が感じられる。うどんのつゆは、しょうゆに砂糖と塩を加えて1週間寝かせることでまろやかな味わいに仕上げた。一番人気の「天ぷらうどん」はもちろん、先代から受け継いだレシピを生かした「カレーうどん」もおすすめ。

代表の吉田和広さん「器はいくつか割れてしまいましたが、うどんのかえしは無事で安心しました。 温かいうどんを食べて、体に染み渡る幸せを感じてほしいです」
 

ラーメンカフェ なないろ(氷見市)

決意新たに作る まろやかブラック

「ブラックラーメン」(850円) プラス130円で煮卵をトッピングした。魚介類と動物系のだしを絶妙なバランスで合わせたスープは、まろやかで奥行きのある味わい

 店主の水野真由美さん(高岡市)は息子が高校3年間通学した氷見市に縁を感じ、昨年6月、市内に店を構えた。看板メニューはブラックラーメン。真っ黒な見た目とは裏腹に、スープはまろやかで飲み干す人も多いという。クリームソーダやライスバーガーといったカフェメニューもそろえ、老若男女問わず人気を集めている。

「なないろセット」(850円) 自家製チャーシューとタルタルソースを挟んだライスバーガーとドリンク、ポテトのセット。14時から注文可

 地震による断水の復旧後、1月4日に営業を再開。当時市内では断水が続く地域も多く、「自分だけ店を始めていいのか」と葛藤もあった。「お客さんの温かい声に励まされました」と水野さん。「氷見で頑張っていきたい」と心を込めた一杯を提供し続ける。

店主の水野真由美さん「食器や店内の壁の破損がありましたが、元気に営業しています。 いろいろあったけど店を始めてよかった!」
 

撮影:南部スタジオ、さいとう写真事務所