2024年1月1日。能登半島地震は多くの人の暮らしを壊しました。富山県内では氷見・高岡が大きく被災しました。でも、そこには震災に負けない人たちがいます。立ち上がろうとする人たちがいます。そんな人たちに会いに行きませんか。変わらずおいしいご飯を食べに行きませんか。ゼロニイは氷見・高岡が超好きです。(情報は取材時の内容です)
井上菓子舗(氷見市)
「定番の味」を再開 米国にも届ける

「名月」(1個130円) 練乳と卵黄をたっぷり使用し、皮とあんの一体感ある味わいが魅力
氷見市の海岸近くにある店は、地震によって建物に大きな被害を受けた。断水も長引いたが1月中旬に菓子製造を再開し、店頭にはさまざまな和菓子が並ぶ。
創業は1877(明治10)年。店の片隅には古い木型が飾られている。「創業当時はこの型で落雁を作っていたそうです」と製造責任者の林真由美さん。ミルクまんじゅうの「名月」は戦後から作り続ける定番商品で、被災後の不安も多い中、念願だった米国への輸出を果たした。「再開できたのは周りの支援のおかげ。お菓子を作り続けて感謝の気持ちを届けたい」と林さんは前を向く。

「鰤大敷(ぶりおおしき)」 (小豆、白小豆 各173円) もなかと大福が別々に包装されており、食べるときに挟んでいただく。さっくり香ばしいもなかと、やわらかい大福の食感の対比が楽しい

製造責任者の林真由美さん「ガラスの損傷や床の隆起など困難が多いですが、 周りの方々の温かいメッセージに励まされました」

SUNNY COFFEE(サニーコーヒー、高岡市)
自慢のスイーツとコーヒーをもう一度

「バスク風チーズケーキ」(手前、500円)、「アイスコーヒー」(450円) アイスコーヒーはシングルオリジンの深いりを使用し、すっきりとした口当たり。濃厚なチーズケーキとともに味わいたい
オーナーの酢谷真理さんが2022年にオープン。店名は、約30年前に酢谷さんが家族と営んでいた「軽食喫茶サニー」にちなんでいる。自家焙煎(ばいせん)豆を使ったコーヒーは、喫茶サニーの味を再現したブレンドや、豆の個性を生かしたシングルオリジンなど多彩にそろえる。チーズケーキやガトーショコラといった手作りスイーツも好評だ。

「キウイエイド」(右、550円)、 「サンドイッチ ミックス」(400円) 自家製シロップを炭酸で割った爽やかなドリンク。サンドイッチはマヨネーズから手作りしている
被災後、店は液状化の被害が大きく復旧に時間を要した。2月半ばからテイクアウトのみで営業を再開。「まだまだ大変な人も多いと思いますが、一緒に頑張っていきましょう」と酢谷さん。ふくよかなコーヒーの香りで訪れる人を優しく迎えている。

オーナーの酢谷真理さん「扉が開かない、排水管が損傷するなど被害は大きかったですが、この場所で再開しました。 入れたてのコーヒーで一休みしてもらえたら」

撮影:竹田泰子、南部スタジオ