2024年1月1日。能登半島地震は多くの人の暮らしを壊しました。富山県内では氷見・高岡が大きく被災しました。でも、そこには震災に負けない人たちがいます。立ち上がろうとする人たちがいます。そんな人たちに会いに行きませんか。変わらずおいしいご飯を食べに行きませんか。ゼロニイは氷見・高岡が超好きです。(情報は取材時の内容です)
おばんざいカフェ ひらき昆布店(高岡市)
不安だけど、お客さんが来てくれるから
能登半島地震の影響で、通常通り営業できない店が多くあります。高岡市伏木地区にある「おばんざいカフェ ひらき昆布店」もその一つです。現在、店内で食事を楽しんでもらうのが難しく「無期限休業」としながら、不定期で総菜やオードブルなどをテイクアウト用に販売しています。店主の松野聡子さんに、今後について聞きました。

—店の特徴を教えてください。地震前はどんなメニューを扱っていたんですか。
元々は60年超続く昆布屋です。昆布とこうじを使ったうどんやおでんといった、体に優しいメニューを店内で出していました。近くに国宝勝興寺がありますが、寺の周辺には観光に来た人が食事する場所が少なく、暮らす人も高齢者が多い。そんな人たちのために食事できる場所をつくりたくて2021年、昆布屋を改装してオープンしました。
—地震で店にどんな影響がありましたか。
液状化で建物全体が20cmほど沈みました。危険なのでお客さんに食事してもらうのは難しいです。厨房(ちゅうぼう)はかろうじて使えるので、不定期に、1人前の「おかずセット」や「炊き込みご飯」のテイクアウト予約を受け付けています。1人前850円の「糀(こうじ)おでん」は5人前から、1人前1500円のオードブルは3人前から対応します。

—テイクアウトメニューも昆布やこうじを使った内容ですね。取材中、予約した常連さんが訪れて「ここのはおいしいのよ!」と何度も言っていました。
ありがたいです。10種類のおかずをそろえた「おかずセット」には、塩こうじを使っただし巻き卵や昆布のつくだ煮、昆布巻きを入れることが多いですね。薄味だけどうまみが感じられる、添加物のない昔ながらの味に仕上げています。
地震のダメージは大きくて、気持ちがまだまとまっていません。リフォームのローンの返済がまだある。液状化は今も進行中らしい。お客さんが増えてきたところなのに、地震で伏木を出ていく人もいて。今後を思うと不安です。
—店を直して、地震前のように営業したいですか?
やるしかないと思っています。どういう形がいいか迷いますが。
地震後、離れた別のお店で販売する機会がありました。インスタグラムだけで告知したのですが、どうやって知ったのか、近所の90代のおじいちゃんが来てくれたんです。うれしかった。お客さんが来てくれることが励みです。
不定期ですが、予約を受け付けていきます。数の多い注文も頑張りたいです!
撮影:南部スタジオ