元日に発生した能登半島地震で富山県内に津波警報が発令される中、海に面しない上市町や立山町、舟橋村で、富山市や滑川市の海沿いから避難者が押し寄せる「想定外」の事態が起きていた。3町村は急きょ、避難所を開設して対応に追われた。当時、何が起きていたのかを振り返る。

高台の公園駐車場に300台

 国道8号を境に富山市水橋地域や滑川市と接する上市町。午後8時ごろ、役場駐車場には避難者の車が多く止まっていた。高台に位置する丸山総合公園には一時約300台が押し寄せた。

 開放された役場1階でテレビの映像を見ていた富山市水橋中村町の男性(53)は午後5時過ぎ、妻の実家のある上市を目指して役場の駐車場に行き着いたという。高齢の父親ら家族も連れて避難し、役場ロビーや働く婦人の家で一夜を過ごした。

富山市などから避難した人の車で混雑する上市町役場の駐車場=1日午後8時5分ごろ

 記者は車内にいた人にも声を掛けた。高齢の両親と帰省中の弟家族と7人で避難してきた水橋地域に住む女性

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