フリーアナウンサー・民宿あおまさ 女将
青木 栄美子(あおき えみこ)さん

1989年生まれ。富山県氷見市出身のフリーアナウンサー。民宿あおまさ創業者の孫。12年よりアナウンサーやキャスターとしてNHK富山放送局や金沢放送局、富山テレビで活躍。21年にフリーランスに転身。23年3月より夫婦で民宿あおまさを継承。新設した「自然一体型のサウナ」は、有名なYouTubeチャンネルで取り上げられるなど県外からも注目を浴びている。

 県内外からたくさんの人びとがおいしいお魚と癒やしの温泉を目的に訪れる氷見。フリーアナウンサーとして活躍するかたわら、民宿あおまさの女将として地域ならではのおもてなしに取り組む青木栄美子さんにお話を聞きました。


ー青木さんにとって民宿あおまさはどんな場所ですか?
 祖父母が50年前に開業した民宿あおまさは、幼い頃から私の生活の一部でした。思い出というよりも、自分の成長の一つの要素だと感じています。まちを歩けば「あおまさのお孫さん」と声をかけてもらって、地元のお客さんに囲まれて育ちました。

 氷見には町内会や慶弔の集まり事を民宿で行う文化があります。地域の人たちにとって民宿は身近な存在であり、たくさんの人たちの思い出のシーンを支えてきました。祖父母もお客さんを家族のように迎え入れ、民宿を通して地域の皆さんと温かい関係性を築いてきました。


今年の春から女将になった青木さん。民宿を継いだきっかけは?
 結婚をきっかけに夫婦で民宿を継承しました。夫の辻井隆雄さんと結婚した頃、あおまさは近年のコロナ禍でお客さんが減り、今後の継続を悩んでいました。そんな時に夫が「やってみよう」と声をかけてくれました。家族全員が大喜びでしたね。夫も氷見の出身で、地域にとっての民宿の大切さを分かってくれていました。夫婦ともに客商売が未経験でしたが、地域の方々に助けていただきながらオープン準備を進めてきました。

 私にとっても地域にとっても、あおまさは一つの“居場所”だと思っています。皆さんが集まれる場所を残すことができてうれしいです。私一人ではできなかったことなので、警察官を退職してまで決意してくれた夫には心から感謝しています。


ー新たなスタートを切った民宿あおまさのおすすめポイントは?
 
そのまま継承するだけではなく、自分たちの好きなこともスタートさせたいという思いから、サウナ好きの夫の提案で富山の魅力を体感してもらえるようなこだわり満載のプライベートサウナを作りました。最大10人が入れる海側がガラス張りのサウナ室は、海越しの立山連峰から登る朝日を見ながら“ととのう”体験ができます。水風呂は地下水とあおまさ自慢の琥珀(こはく)色の温泉の2種類。そして目の前に広がる世界一大きな水風呂の富山湾に飛び込むことができます。

 
サウナを新設したことで、県外からもお客さんが足を運んでくれるようになりました。近くの漁港から取り寄せた新鮮な魚をメインにしたお食事とともに、富山らしさや氷見ならではの魅力を感じられる場所になっていると思います。


ー民宿の女将とアナウンサーのお仕事、二足のわらじでの活動はいかがですか?
 
民宿の女将もアナウンサーも、同じ“地域のことを伝える”仕事をしていると思っています。

 もともと、地域のことを伝える仕事がしたくてアナウンサーを志しました。テレビの画面上でお話しするだけではなく富山のいろんな場所に足を運んで情報を集めて、伝えたいことを自分で企画して提案することにもたくさん挑戦してきました。地元の友人やお世話になっている人たちも含めて地域の人に届けたいと気持ちを込めて伝えてきました。

 民宿の運営においても食や景色、集う人たちの温かさといった地域の魅力をお届けしています。あおまさに県外の方にもたくさんお越しいただけるようになり、より広くお伝えできるようになってうれしいです。

ー今後の展望を教えてください。
 まだまだ慣れないことも多く大変なこともたくさんありますが、お客さんと過ごす毎日は楽しく充実しています。地域の皆さんには「地元っていいな」と思ってもらえるような“居場所”として、県外の皆さんには年に1回帰ってくる実家のような“居場所”として使ってもらいたいですね。皆さんと一緒に、富山の魅力や地域の人たちとつながれる宿に育てていきたいです。

文・徳田琴絵(うみとやまローカルラボ ツアーコーディネーター・富山オタクことちゃん)
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富山オタクことちゃんの編集後記
 いつでもまぶしい笑顔で迎え入れてくれる栄美子さんに、会うたびに元気をもらっている方は多いはず。私も県外からの友人と共にあおまさ自慢のサウナを体験しましたが、氷見ならではの絶景と心地よさに大感動でした。友人も想像以上の富山の魅力に圧倒されていました。非日常のサウナ体験を楽しみつつ氷見の暮らしの文化を身近に感じられるような民宿あおまさ、ぜひたくさんの人に訪れてほしいです。
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