2023年8月に開業した次世代型路面電車「宇都宮芳賀ライトレール線」。全線新設の次世代型路面電車(LRT)は全国で初めてという歴史的事業を支える運転士の中に、「鉄軌道王国」として知られる富山ゆかりの人材がいる。一度は別業界に転じたものの、「鉄道の仕事の魅力が忘れられない」と再び運転士を志した男性の熱い思いを聞いた。(2023年11月13日公開の記事を再掲)

 宇都宮芳賀ライトレール線は、宇都宮市と栃木県芳賀町が整備。路面電車の開業は富山県高岡市の現・万葉線以来75年ぶりで、運行会社「宇都宮ライトレール」が運営している。

 同社の運転士の1人、小野翼さん(30)は、埼玉県出身で大学卒業後に富山地方鉄道で勤務した経歴の持ち主。両親が鉄道ファンで、幼い頃から夏休みの家族旅行と言えば、県外の鉄道に乗りに行くのが恒例だった。「旅行というのは鉄道に乗りに行くことだと思っていた」と苦笑する。

運転席に座る小野さん

 自身も鉄道ファンとなり、就職を検討する際は鉄道業界、特に運転士を志望。鉄道各社の求人を調べていたところ、富山地鉄の募集が目にとまった。「富山地鉄のことはそれまで知らなかったが、社員ではなく運転士として募集していたところが印象的で応募を決めた」と振り返る。

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