ナイフをすっと入れる。ケーキなら色鮮やかなフルーツやスポンジ、サンドイッチならバランスよく重ねられた旬の野菜やパンの層がそれぞれ現れます。断面の美しいグルメは、料理人の技と知恵が詰まっています。ブームが起きてから、断面の美しさに多くの人が目を奪われ続け、新しい流行も生まれています。(情報は取材時の内容です)
ANAクラウンプラザホテル富山
コーヒー&レストラン カフェ・イン・ザ・パーク(富山市)
たっぷり生クリームに4種のフルーツ
ズコットケーキはイタリアの伝統的なスイーツだ。昨年ごろから、スポンジの中にフルーツをふんだんに詰めたものが注目されている。

「フルーツズコット」(650円、テイクアウトは630円)ボウルにスポンジを敷き詰め、生クリームと果物を入れ、スポンジでふたをしてひっくり返して作る
トレンドを意識して提供を始めた「フルーツズコット」は、イチゴとオレンジ、キウイ、ブルーベリーを使う。果物全種類が必ず1ピースに入るよう工夫。断面からは、バランス良くフルーツが入っているのが見てとれる。たっぷりの生クリームとみずみずしい果物から、ショートケーキのような味わいが楽しめる。
生クリームを塗った表面には、輪切りや半月切りにした果物の断面が隙間なく並ぶ。その美しさに、多くの人が見とれてしまうだろう。

輪切りや半月切りにしたフルーツが隙間なく並ぶ

「ぶどうのパフェ“Teardrop”」(1,980円)シードレスグレープをぜいたくに使ったパフェ。9月末までの限定メニューでイートインのみ

ニューモンブラン(射水市)
プリン・イチゴ・黄桃ぎっしり
1978年開業の地域で親しまれるケーキ店も、ズコットをそろえる。「ストロベリー」はスポンジの間にカスタードプリン、イチゴ、黄桃、生クリームをぎっしり閉じ込める。店主の齋藤英男さんは「見た目の美しさは大切な要素。具材の断面がきれいに見えるよう、考えて切っている」と話す。一口目のカスタードプリンは口当たりが良く、イチゴは甘酸っぱい。黄桃はシロップ漬けの甘みが広がり、さまざまな味わいが楽しい。

「ストロベリー」(500円)表面にカットしたイチゴを並べる。ココアのスポンジを使ったズコットは県内では珍しいという

寒天を使って表面をつや出し
75歳の齋藤さんにとって、流行のケーキを作るのは大変なことだそう。「でもお客さんに喜んでもらいたいからね。これからもトレンドを取り入れていきたい」とほほ笑む。

「モンブラン」(400円)開店時からの看板商品。栗のペーストを円すいのように飾る

撮影:南部スタジオ、竹田泰子