味変。それはひと皿の上で我々が起こせる小さな革命です。ひつまぶしはネギを加えて爽やかに、だしをかければさっぱりと。チリマスタードやゆずこしょう、ヤンニョムジャンといった多彩な薬味がそろう肉料理や、ソース以外にわさびや岩塩で楽しむとんかつなどもあります。世界を一変させる自由があなたに委ねられているのです。(情報は取材時の内容です)

神通町 田村(富山市)

酵素塩や香味油 そばの個性引き出す

 日本全国から厳選したそば粉の持ち味を生かすため、打ち粉やつなぎを一切使わずに作る十割そばの店。素朴なたたずまいの「もり蕎麦」は、店のこだわりが詰まった逸品だ。

「もり蕎麦」(写真の北海道そばは1,100円)。味も香りもさまざまな5、6種類のそばをそろえる。うまみ成分たっぷりの「黄金タモギ茸天ぷら」(750円)も人気

 まずは何も付けずにすすってみると、歯応えのある麺をかみ締めるたびに香りが広がる。粒の細かい酵素塩をかけると舌の上で溶けて、ほのかな塩気がそばの香ばしい後味を引き立てる。さっぱりとした自家製のそばつゆにさんしょう香味油を2、3滴入れると、爽やかな香りが加わってさらに箸が進む。味を変えるたびに引き出されるそばの個性を、余すことなく楽しみたい。

「冷やしニシン蕎麦」(1,700円)函館産のニシンを使った7、8月の限定メニュー。ゆずとわさびの効いた大根おろしとオクラをのせて味変できる
オーナーの田村信一郎さん「大盛りを注文すると付いてくる、みそ味のそばつゆ『煮抜き汁』もおいしいです」
 

Italian Bar BEONE イタリアンバール ベオーネ(富山市)

ボロネーゼ変える3種のソース

 店名を冠するボロネーゼ「ベオネーゼ」は3種類のソースを添える。「何のソースを付けるかは、気分で決めています。季節の野菜を使うとかね」とバリスタの畑林啓一さん。

「ベオネーゼ」(1,900円)立山放牧和牛と豚肉の合いびき肉のボロネーゼソースがフェットチーネに絡む。ディナーで提供する

 取材時は、トマトやアーモンド、バジリコをペーストにした「トラパネーゼソース」と、ペースト状のサラミ「ンドゥイヤ」、「トウモロコシのムース」をセット。「料理にはおいしさのほか、アミューズメント感をプラスして提供したい。ソースによる味変が一つの楽しさになれば」と語る。おいしさと楽しさが組み合わさる料理を、今後も提供していくつもりだ。

「自家製マスカルポーネチーズのハニートースト」(700円)乳脂肪分の高い生クリームで作ったチーズは濃厚でクリーミー
バリスタの畑林啓一さん「わいわいと食事を楽しんでもらいたいです」
 

麺屋いく蔵 ひみ番屋街店(氷見市)

4回も味変 上質で異色なラーメン

 氷見産の食材にこだわる上質なラーメンが、ひみ番屋街のフードコートにある。ナポリタンのような異色のラーメン「氷見イワシ香るナポらー麺 〆リゾットセット」は、粉チーズと温玉、氷見産コシヒカリ「ひみ穂波」のご飯が付き、4回も味変することができる。

「氷見イワシ香るナポらー麺 〆リゾットセット」(1,300円)ナポリタンを意識し、粉チーズやピーマンをトッピング。2021年、日本一のナポリタンを決める大会で、ラーメンながらグランプリを受賞した

 まず、ケチャップや氷見産カタクチイワシを用いたスープや、特産ハトムギを練り込んだ自家製麺を味わった後、粉チーズを半分入れるとナポリタン感アップ。さらに温玉を加えるとマイルドに。粉チーズと温玉をスープ全体に混ぜ、麺と一緒に堪能しよう。最後に、残ったスープにご飯と残りの粉チーズを入れてリゾット風で締めくくれば、何品も食べた気分になるだろう。

「氷見イワシ香る氷見そば」(800円)カタクチイワシや国産昆布などで丁寧にだしを取った。冷やしバージョンはプラス100円
運営会社社長の久保俊介さん「ナポらー麺は、ラーメン一杯でフルコースを楽しんでもらえるようイメージしました」
 

撮影:南部スタジオ