ますずしの材料として知られる一方、「幻の魚」と言われて久しい富山のサクラマス。7月上旬、富山漁協の組合員が釣った天然物を食する会に誘われ、ご相伴に預かった。サケとも、サーモンとも違う、とろける食感。それでいて、しつこさや臭みは一切ない。おいしさの理由を深掘りする。

4.5キロ
今回食したのは、富山県東部の河川で揚がった4・5キロの大物だ。富山漁協の組合員がことし5月、ルアーで釣り上げた。冷凍保存していたものを、富山市内幸町のすし店「寿し晴」でいただいた。

「脂がすごい」。サクラマスをさばいていた寿し晴の牧野晴夫さん(75)が思わず舌を巻いた。作ってもらったのは、刺し身、焼き魚、にぎりずしの3品。牧野さんは「昔はサクラマスをよくさばいたけど、最近はめったにお目にかかれないね」と話す。
とろとろの口溶け
刺し身は鮮やかなピンク色で、大物とあって分厚くカットされている。適度な弾力がありながら口に入れると、とろけるようだ。それでいて、しつこさやくどさは一切、感じなかった。

焼いたサクラマスもこれまた絶品だった。皮がカリッと香ばしく、身はうまみたっぷりでやわらか。骨周りの身も残さず食べたくなり、時間をかけていただいた。

最後に、にぎりずしをいただいた。これぞ、ますずしの原点だ。「脂が洗練されている」「天然物は格別だね」。この日参加していたのは富山漁協の関係者ら計5人。新鮮な魚を食べ慣れているであろう組合員たちも、天然ますずしにほっぺたが落ちた様子だった。
厳しい環境だからこそ
なぜ天然サクラマスはこんなにおいしいのか。県水産研究所(滑川市高塚)の