早産・低体重児出産のリスク高める
歯周病の発症原因は歯の汚れ「プラーク」です。プラークに含まれる細菌が、歯と歯ぐきの間の溝から入り込み、歯ぐきに炎症を引き起こして「歯周ポケット」を形成します。進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまいます。

歯周病の深刻なところは、口の中に影響するだけでなく、糖尿病を悪化させたり、早産・低体重児出産や心臓病のリスクを高めたりと、全身に影響を及ぼす点です。
月経前に歯ぐきが腫れる
月経前になると決まって歯ぐきが腫れたり、歯磨きで出血したりという症状を経験したことがある人も多いのではないでしょうか。なぜでしょう?
富山県歯科医師会の常務理事で、さとみデンタルクリニック(富山市荒町)の魚津公美院長によると、歯周病菌の中には、女性ホルモンを栄養源に増殖する菌が存在し、大切な女性ホルモンが残念ながら、歯周病を進行させる役割を担ってしまうからだそうです。

女性ホルモンの量は月経周期や妊娠出産、年代によって大きく変動します。歯周病というと、中高年の病気と思われがちですが、女性にとっては思春期から閉経後まで一貫して気を付けなければならない病気なのです。魚津院長は「女性の心身はどうしてもホルモンバランスに左右される。歯科医師とも、一生を通じてつながりを持ってほしい」と話します。

口腔ケア念入りに
歯周病の予防のためには、毎日の口腔ケアがとても大切です。しかし、自己流ケアで磨いても残念ながら70%のプラークが残ってしまうそうです。

魚津院長おすすめのケアは歯間に毛が届く「テーパー加工タイプ」と歯面全体を磨くための「ラウンド加工タイプ」の2種類の歯ブラシを使うこと。
1日3回の歯磨きタイムで使い分けるのも良いそうです。フロス・歯間ブラシも忘れずに。
歯磨きの力加減を数値で表すと200gほどで、思ったよりやさしい力加減です。動画で確認してみてください。魚津院長は「磨き過ぎにも気を付けて」とアドバイスします。
特に妊娠中のママは、つわりのために歯磨きがどうしてもおろそかになる傾向があります。気持ち悪くならないように、下を向いて磨くと良いそうですよ。
普段のケアを頑張りつつ、定期的に歯科医院でプロの予防ケアを受けることで、親子で大切な歯と歯ぐきを守りましょう。