離岸流とは、打ち寄せた波によって海岸にたまった水が、沖に戻ろうとするときに発生する強い流れのことをいいます。全国どこの海でも発生する可能性があり、水深0.5m以下の浅い場所でも起きます。離岸堤などの人工構造物の近くではより発生しやすいとされています。

長さは沖へ数十~数百m、幅は10~30m程度。流れは速ければ競泳選手が泳ぐスピードとほぼ同じの毎秒2mほどで、気が付かないうちに、あっという間に沖まで流されてしまう危険もあるそうです。伏木海上保安部は「離れた場所で子どもが流されれば、大人が急いで連れ戻そうとしても間に合わない」と注意を促します。

 

離岸流の仕組み(海上保安庁第九管区海上保安本部の資料を参考に作成)

実際の離岸流の映像を海上保安庁第九管区海上保安本部のウェブサイト(https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN9/ripcurrent/ripcurrent.htm)で見ることができます。海水を着色した調査で、沖へ向かう離岸流の動きが視覚的に分かります。

子どもの事故も発生

2017~2021年の5年間で、富山県の海域などを所管する海上保安庁第九管区海上保安本部が認知した離岸流が原因とみられる人身事故は、富山ではゼロですが、石川と新潟で合わせて28件(12歳以下の子ども4人含む)発生しています。幸い死亡事故はありません。遊泳中やサーフィンをしているときに起きています。

もし遊泳中に離岸流に巻き込まれたら―。伏木海上保安部交通課の方に対策を聞きました。

もし離岸流に流されたら「焦らず仰向けになって浮くこと」がポイント。

◆まずはなんとか落ち着こう。冷静に。
◆手を振って、流されていることを他の人に知らせる。溺れそうなとき、人は声が出せません。
◆無理に泳ごうとせず、仰向けに浮くこと。
◆泳ぎに自信がある人は、岸と平行に泳ぐ。岸に向かって泳がない。沖向きの流れを感じなくなったら岸に向かって泳ぐ。

絶対に目を離さない

海水浴を楽しむ家族連れ=高岡市の松太枝浜海水浴場

新型コロナ第7波の影響で、夏休み中の学校のプール開放がない地域もあり、暑い中、子どもたちに水遊びをさせてあげたいというパパママも多いでしょう。

家族で海水浴へ出かける際は、とにかく「絶対に子どもから目を離さないこと」が一番だそうです。砂浜のパラソルからちゃんと見守っています!と言いたくなりますが、これはNG。子どもが流されたことに気付いても、そこにいては間に合わないからです。他にも7月には富山県内の海水浴場で、幼児が浮き輪から落下する事故も発生しています。子どもだけで行動させずに、大人が横に寄り添うことが大切です。

コノコト編集室が訪れた高岡市の松太枝浜では、パパかママのどちらかが浮き輪で遊ぶ子どもに付き添い、海の中でも常に一緒に行動していました。

監視員やライフセーバーがいる海水浴場を選び、遊泳区域内で遊ぶことも徹底しましょう。ライフジャケットの着用も有効だそうです。伏木海上保安部も県内の海水浴場を巡回し、注意を呼び掛けます。子どもたちには安全な環境で、楽しい夏の思い出を作ってあげたいですね。