富山県青少年音楽コンクール大賞を受賞した勝田未来さん=2022年3月

日本は習い事に取り組みやすい環境

―マリンバに取り組んだきっかけを聞かせてください。

民さん 未来が6歳のとき、スイスから私の祖父母の家がある朝日町に家族6人で移りました。上の3人の子は音楽にあまり興味を示しませんでしたが、未来は友達の影響を受け、マリンバ奏者でもある大谷多賀子さん(黒部市)の教室で小学校1年からピアノを習い始めました。マリンバには時々触れる程度でしたが、大谷さんの勧めで6年の時に本格的に演奏するようになりました。
クリストファーさん もしスイスにいたままだったら、未来はマリンバを始めていなかったでしょう。私が生まれ育ったアメリカや、長く暮らしたスイスに比べ、日本は指導者や地域のサポートが厚く、習い事に取り組みやすい環境です。学校の課外活動や地域清掃に親子で参加する機会があるのも良い点と感じています。

―普段の練習の様子は。

民さん 未来は中学校では吹奏楽部に所属しています。学校から帰宅すると、居間に隣接した仏間にあるマリンバで練習を始めます。聞いていると好不調を感じることもありますが、あまり口を出さず、聞かれれば答える程度にとどめています。夫と私は大きな音色に慣れ「テレビはあまり見れないね」と笑い合っています。

クリストファーさん(右)と民さん

悔し泣きを機により真剣に

―印象的な出来事を教えてください。
民さん 中学校2年の時、やや慢心し練習不足の時期がありました。カバーしようとコンテスト直前に無理をしてしまい、本番で思うような結果が出せずに悔し泣きしていました。それ以降は他の演奏家の映像を研究するなど、より真剣に取り組むようになりました。

マリンバに初めて触れた頃の未来さん

―未来さんは小学生のとき、富山県体育協会の「未来のアスリート発掘事業」の指定を受けていますね。
民さん 運動が好きで、朝日町に越した直後から水泳を続けています。一時は音楽と運動のどちらに力を入れるか迷っていました。大谷さんに、体を動かすことは演奏にも良い影響があると教わり、「音楽家もアスリート」という言葉を大切にしているようです。

家庭は安心できる場所

―今後はどんな活躍を期待しますか?
民さん
 若いうちは、コンクールなどに思う存分挑戦し、演奏の幅を広げてほしいと思います。そのためにも親子の会話を大切にし、家庭を「安心できる場所」にしたいと思っています。
クリストファーさん テクニックも大事ですが、むしろ思いを表現する力を磨き、演奏で人を幸せにしてほしいですね。