臨時休校が続き自宅で過ごす時間が長くなったことで、子どもの運動不足やお菓子の食べすぎを心配している方も多いと思います。今回は、子どもの肥満について解説します。
子どもの肥満は成人肥満につながる
子どもの肥満は、成人肥満につながると言われているのをご存知でしょうか。幼児期に肥満で成人肥満につながる割合は25%、学童前期では40%、思春期(中学、高校)では70~80%と高くなります。
これは子どもが小さい間は、親が肥満に気付いて食事内容に気を配ったり、子ども自身の運動量が増えたりすることで肥満が解消されるケースがある一方、高校生ぐらいになると身に付いた食生活を改善することが難しくなるということです。
ですから小さいうちに、正しい食生活を身に付けることがとても大切になります。
主な肥満の要因は、摂取エネルギー>消費エネルギー
具体的には以下の生活習慣が要因となります。
・食事、間食(スナック菓子、ジュースなど)の過剰摂取
・食事内容のバランスの乱れ(野菜の摂取不足、揚げ物の摂取が多い、肉ばかり、麺やパンなどに偏った食事など)
・朝食の欠食
・睡眠不足、夜更かし、早起きできない
・運動量の低下
肥満の判定方法
子どもの肥満の判定には「肥満度」が用いられます。
肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので下記の式で計算されます。※標準体重は文部科学省から発表されている「学校保健統計調査報告書」による標準体重を用いています。
肥満度=(実測体重-身長別標準体重)÷ 身長別標準体重 × 100(%)
■計算するための準備
① 身長と体重をメモしておく。
② 身長別標準体重を計算しておく。
身長別標準体重 = 表のa × 実測身長 - 表のb
■判定について
【幼児】
肥満度 プラス15%以上は太りぎみ、
肥満度 プラス20%以上はやや太りすぎ、
肥満度 プラス30%以上は太りすぎ
【学童】
肥満度 プラス20%以上 となる場合を肥満
肥満度 プラス30%以上を中等度肥満
肥満度 プラス50%以上を高度肥満
【やせ】
肥満度が マイナス20%以下 やせ
肥満度がマイナス30%以下 高度やせ
※乳児には肥満度法は用いません。
肥満度も肥満に対する1つの目安となりますが、この数値だけで見るのではなく、一人一人の成長曲線や肥満度曲線を描いて総合判断することが大切となっています。
次回は肥満のリスク、よりよい生活についてです。
◆舘川 美貴子(たちかわ みきこ) ◆
管理栄養士、公認スポーツ栄養士
富山市生まれ。中京女子大学(現 至学館大学)健康科学部栄養科学科卒業。
日本スポーツ栄養学会評議員。学生アスリートやプロスポーツ選手の栄養サポートを行っている。