「使ったつもりはないのに、なかなかお金が貯まらない…」。多くの家庭で見られるこの悩みを解く答えは“家計の見える化”です。家計見直しのプロであるファイナンシャルプランナー(FP)、政橋奈保美さんに、おすすめアプリと活用術を教えてもらいました。
高校生までがお金の貯め時
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」によると、公立の学校に通った場合の教育費は、塾などの学校外活動費を含めても、最も高い中学生で年間488,397円、3年間にすると146万円ほど。しかし大学の4年間にかかる費用(生活費除く)は、国立大学に自宅から通う場合で540万円、私立大学で下宿をした場合は約1,130万円かかるというデータが出ています。さらに一人暮らしをする場合の生活費として、下宿生で月18万円余りという統計があり、予備費を含めて4年間で1000万円を想定しておいても、決して多すぎるとは言えないのが現状です。これに備え、いかに貯金しておくかが大きなポイントになります。
(参考資料)
・日本政策金融公庫 「平成30年度 教育費負担の実態調査」
・文部科学省「平成29年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額の調査結果」
まずは現状把握を
お金を貯めるためにまずやってほしいことは、現状把握です。お父さんの飲み代、お母さんの美容品のお金なども含めて、家のお金がどこにどう使われているかをはっきりと分析し、“使途不明金”をなくすことです。
カード連携で使途不明金をなくす
おすすめは、銀行やクレジットカードと連携したアプリ、中でもFPや会計士からも信用が高い「マネーフォワード」(https://moneyforward.com)が私の一押しです。レシート撮影で現金の支出が簡単に入力できるのはもちろん、利用しているメインの銀行口座、クレジットカード、ICカードのほか、携帯、年金、証券なども一度登録すれば、情報を連動して自動入力されます。また、アカウントをひとつ作ることで、夫婦や子供のものも登録できるので、家族のお金が一元管理できます。そのほか「Zaim」(https://zaim.net)「マネーツリー」(https://moneytree.jp)も人気です。
保険料の見える化で無駄をなくす
今、自分がどんな保険に加入しているか、保障内容がどうなっているかを把握している人は多くないと思います。保険を把握するのにおすすめなのが「iChain 保険」(https://www.ichain.co.jp/ichain_wallet.html)です。保険証券を撮影して登録すると、毎月の保険料が見える化できます。さらに保障内容をグラフ化してくれるので、無駄な保険に入っていないかという “断捨離”の判断材料にもなります。またカスタマーセンターの電話番号を登録しておけば、各種変更や有事の際の手続きの際には、画面タップで連絡ができて便利です。
最近は他社のアプリ同士でも連携できるものもあり、自分の使いやすいようカスタマイズすることもできます。
大事なのは、“ゴールを把握すること”。家計簿を見直すことで、無駄な出費を減らし、強制的にその額を貯めるというのも一つの方法です。日々の集計はアプリに任せて、月々のまとめは、紙に書いて振り返るということもとても効果的です。
キャッシュレス、ポイント還元の注意点
ポイント還元などの優遇策から、クレジットカードでの支払いやキャッシュレス決済が増えています。便利な分、いくら使ったかという認識が薄れてしまう面もあります。そういう意味でも、スマホと家計簿アプリとの連動は欠かせません。また、“ポイント2倍”とか“期間限定ポイント”という言葉にも注意です。冷静に計算すると、それほど得にならないケースが多くあります。迷ったときは、本当に必要かどうか? を基準にして、甘い言葉につられすぎないように気をつけましょう。
政橋 奈保美(まさはし なほみ)
まさはしFP家計相談所(射水市)の所長。家計相談や保険の見直し、資産運用サポートなど、お金に関する様々な相談に応じ、マネーセミナーなども行う。2級ファイナンシャルプランニング技能士。証券外務員二種。
http://fuji-office.com
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