学校(School)× 富山(Toyama)× アート(ART)を組み合わせ、「START」と名付けられた展覧会。県内の小・中・高・特別支援学校の計8校の児童・生徒が「水の、かたち」をテーマに出品し、招待作家の山口百子さん(金沢市出身、愛知県在住)の日本画の屏風なども展示しています。各校の作品は床、壁、天井と空間を目いっぱい使って展示され、作り手たちのワクワク・ドキドキ感があふれています。
コノコト会員の親子11組が、学芸員の丸山多美子さんの解説を聞きながら鑑賞しました。
丸山:学校と一緒に作りあげる展覧会は、富山県美術館の前身の県立近代美術館時代を含め40年近く続いています。今回は愛知県で子ども向けワークショップに取り組んでいる美術家、山口百子さんに企画段階から参加いただき、全体テーマを「水の、かたち」と決めました。展示室内は、山口さんの作品も含めて写真撮影もできますよ。
富山市寒江小学校×山口百子
全児童86人の寒江小学校の子どもたちと山口さんのコラボレーション作品です。テーマは、水をヒントに考える「寒江の魅力」。山口さんは絹に描くことを得意としているので、子どもたちも学年ごとに、60cm×4mほどの長い絹に、地区に広がる田んぼや、水の恵みをもらって育った野菜、夏のプール…、その中で遊ぶ自分たちの姿などを伸び伸びと描きました。作品は壁から床にかけて展示してあり、絹の透けた感じがとても素敵です。頭上にも八尾和紙に描いた作品を、旗のよう糸でつないで並べました。この展示方法も、寒江小の子どもたちの意見やアイデアが生かされています。
「あふる こぼるる めぐりゆく」
墨と岩絵具を使って絹に描いています。絵具に溶かす水は、山口さんが、夏に富山に来た時に持ち帰った黒部の湧き水を使っています。黒部の水は時間がたってもすごくきれいで、透明度があるので、絵の具の美しさがそのまま出るそうです。さらに緑、青の美しさを引き立たせるため、後ろから光が入るように、壁から少し浮かせて展示してあります。
「彼の岸辺」
山口さんが随分前に描いた絹本作品です。岸辺に生える植物と水のさざ波を別々に描き、屏風状に表具して前後に並べて、透けて見えるようにしたことで立体感を出しています。
富山市樫尾小学校
樫尾にたくさんある「木」と、水の源になる「露」を表現しています。工夫を凝らした様々な木工作品や、卵型の発泡スチロールを露に見立てた彩り豊かな作品が並んでいます。
南砺市城端中学校
大きい池に見立てた一枚のキャンバスに、水の波紋が広がる様子を表現しました。作品の上を歩くことができ、美術部の生徒たちが作ったかわいい生き物が池から時々顔を出しています。水面を歩いているような気分で楽しんでみてください。
星槎国際高校+星槎学童保育富山
写真や書道、スプレーアートなど、授業で習ったいろんな表現方法を使って、富山の水の恵みを表しています。四季を通して水をテーマに撮影した写真や、書とイラストを組み合わせたものなど、生命と水の関わりが、独特の世界観で表現されています。
魚津高校+魚津工業高校
航海の安全や大漁を祈願して始まったと言われる魚津のたてもん祭りを、ランプシェードとイーゼルをうまく組み合わせて表現しました。描かれているのは、魚津港で獲れたキトキトの魚など。実際の祭りと同じ7基のたてもんが並んでいます。
富山大附属中学校
3年生が描いたいろんな「空」を壁面に、1年生が描いた「水の流れ」を床面に展示しました。そして2年生が木を彫って作った「葉っぱ」をその間に漂うように吊り下げることで、「自然のつながり」を空間全体で表現しました。葉っぱは、すごくリアルに作られているので一枚一枚、よく見てみてください。
富山大附属特別支援学校
雨、うずしお、タコ、クラゲ…。様々な絵や模様が描かれたビニール傘が全部で60本。いろんな高さ、向きで展示されています。小、中、高等部のみなさんが、それぞれ考えた水のかたちです。見ていると、皆さんとても楽しんで制作されたことが伝わってきます。
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丸山:みんなが力を合わせてアイデアを出し合った作品は、どれも笑顔になる、楽しくなれるものばかりです。
子どもたち:ビニール傘に絵を描くのはすごく楽しそう。
子どもたち:木で作った葉っぱは、どうやったらあんな風に彫れるのか知りたーい。
ママ:水というテーマだけでもいろんな表現があるんだなあと思いました。展示の仕方もすごい! 子ども一人一人の作品がこれだけ集まると、とても迫力がありました。
ママ:娘もいつもとは違って、今日は夢中になって作品を見ていました(笑)。やっぱり同じ子どもたちが作ったものなので、身近に感じる部分もあるのかな。
【お出かけメモ】
「START☆みんなのミュージアム2019 〜水の、かたち〜」
会期:2月24日(日)まで
会場:富山県美術館
富山市木場町3−20
TEL 076-431-2711
https://tad-toyama.jp/exhibition-event/6256
開館時間:9:30~18:00(入館は17:30まで)
休館日:水曜、2月12日
観覧料:一般500円 大学生250円、高校生以下無料