凝り固まった筋膜を解放し、健康な状態にリセット
『筋膜リリース』という言葉がここ数年メディアでも取り上げられ、注目を集めています。筋膜とは、文字通り筋肉を包み込んでいる膜のこと。筋繊維の中に入り込んで、靭帯(じんたい)や腱(けん)と結びついているだけでなく、内臓や神経、骨とも結びつき“第二の骨格”と呼ばれています。
筋膜の主要部分は、『コラーゲン』とそれを支える弾性線維の『エラスチン』という繊維組織です。悪い姿勢や、間違った身体の動かし方を続けていると、この繊維がねじれて固まり、筋膜がスムーズに動かなくなるのです。さらに筋膜が硬くなると、関節周囲の痛みを引き起こしたり、けがをしやすくなったりし、「なんとなく調子が悪い…」というような全身のだるさ、活動量の低下につながっていきます。
凝り固まった筋膜をリリースする=解き放すことによって、本来の健康な状態に戻してあげることが、体の改善にはとても重要なポイントになってきます。今回は、ご家庭でできる筋膜リリースの方法をいくつかご紹介します!
お家でできる簡単筋膜リリース
1.背面を伸ばす
背中の下にクッションを置いて反る体勢を作り、足は曲げた状態で椅子に乗せます。
クッションから上は手の方向へ、クッションから下は足の方向へ、体を伸ばすイメージで30秒キープ。これを2セット繰り返します。猫背や悪い姿勢で固まった背中の筋膜を伸ばします。
2.胸、お腹を伸ばす
オットセイのようなポーズをとり、痛くない程度に上半身を起こし、あごを引いた状態で30秒×2セット。この時、お腹から上は頭の方向へ、お腹から下は足の方向へ、体を伸ばすイメージを持ちます。
3.体の側面を伸ばす
壁に肩をつけるように横向きに立ち、遠い方の手を上げて壁につけます。足はくっつけたまま、体の外側が伸びるイメージで30秒×2セット。これを左右両方行います。
道具を使った筋膜リリース
筋膜リリース専用のグッズ(ローラー)を使って、各部の筋膜をほぐす方法をご紹介します。ご家庭にあるラップの芯など、筒状(棒状)のもので代用してもOKです。
4.太ももをほぐす
太ももを柔らかくほぐすイメージで、前後にローラーを繰りかえします。
5.腰、股関節まわりをほぐす
横を向いた体勢で、ローラーの上にお尻を乗せ、前後の移動を左右繰り返します。腰まわりの筋膜を柔らかくすることで、腰痛の改善につながります。
6.ふくらはぎをほぐす
ふくらはぎは、多量の血液を心臓まで戻す強力なポンプ機能を果たしています。水分やリンパ液を循環させ、老廃物などを排出するための働きもあり、“第二の心臓”とも呼ばれています。ローラーを使って、しっかりと入念にほぐしていきましょう。

青木 大輔(あおき だいすけ)
あおき接骨院 院長。ジュニア世代からオリンピック選手まで、アスリートの施術経験も豊富。日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー。健康運動指導士。http://aokisekkotsuin.com