社会人サッカーの富山新庄クラブが11月7~9日、JFL(日本フットボールリーグ)昇格を目指して全国地域チャンピオンズリーグに初めて挑戦した。2試合を引き分けて臨んだ最終戦に敗れてグループ4位に終わったが、いずれの試合でも互角の好勝負を演じた。全国の強豪に立ち向かった3連戦の模様を振り返る。
サッカーの全国地域チャンピオンズリーグ(地域CL)には全国9地区の地域リーグ王者と全国社会人選手権上位の計12クラブが参加。3グループに分かれて11月7~9日に1次ラウンドを実施した。各組1位と2位のうち最も成績の良いクラブが決勝ラウンド(同20~24日・千葉県市原市)に進出し、上位がJFLに昇格する。
Jリーグ1部(J1)を頂点とする日本サッカーのリーグ構成において、JFLを4部とすると地域リーグは5部に相当するが、将来的なJリーグ参入を目標に掲げているクラブが各地に存在しており競技レベルは高い。JFL昇格がかかる同大会はこのカテゴリーの最高峰の舞台であり、今年も気持ちの入った緊迫感のあるゲームが1次ラウンドから繰り広げられた。
秘密兵器・ロングスローで追い付く
1次ラウンドは福井県あわら市、岩手県盛岡市、高知県高知市で開催。北信越リーグで初優勝を果たした新庄は福井会場(テクノポート福井)のAグループに入り、東海リーグ優勝の岳南Fモスペリオ(静岡)、関西リーグ優勝のアルテリーヴォ和歌山、全国社会人選手権1位のヴェロスクロノス都農(宮崎)と対戦した。
初戦は岳南と1-1(前半0-0)で引き分けた。新庄は前半、[3-4-3]のフォーメーションでボールを握り、ウイングバックの山下育海と松井元冴へのサイドチェンジを効果的に使って数多くチャンスをつくった。後半の立ち上がりにも相手を押し込んで次々とシュートを放ったが決め切れない。直後の同8分、岳南にCKからヘディングシュートを決められてリードを許した(記録はオウンゴール)。

その後は相手のメリハリの効いた守りに苦しんだ。ボールロストからカウンターを浴びて大きなピンチが何度もあったが、際どくしのいで勝負は終盤へ。同38分、キャプテンのDF松原優吉のロングスローからDF小野俊輔がヘディングシュートを放ち、相手GKがセーブしたこぼれ球に詰めたMF飯島翼がゴール右の角度のない位置から蹴り込んで引き分けに持ち込んだ。
飯島は北信越リーグ2位タイの9得点を挙げたチームトップスコアラー。「絶対に決めてやる。それしか考えていなかった。自分を信じたから決めることができた。(自分自身は地域CL出場が3度目だが)うちは若い選手が多いので普段とは違うこの雰囲気に慣れていないぶん、いつもの力を出せなかったように思う。本来はもっとできる。連戦で疲れは避けられないが気持ちで乗り切りたい」と話した。

元カターレの松原は、J3でも屈指のロングスローの使い手だった。北信越リーグでは「他の方法でも点は取れる」(松原)との考えから使用を控えていたが、今大会では解禁して同点弾につなげた。「やりたいサッカーはできていたが、自分たちのミスを発端にセットプレーから失点して後手を踏むかたちになった。追加点を取られてもおかしくないピンチが何度もあった。失点しなかったのはツキもあった」と言う。
朝日大輔監督は「(決勝ラウンドに進むには)勝ち点3を取らなければならない。ある程度リスクを負って攻めたのでカウンターを食らった。そこで失点せずに持ち直し、終盤に追い付けたのは成長の証しだと思う。このような大きな舞台に立つのは初めての選手が多いにもかかわらず、しっかり90分プレーできたのはプラス材料だ。(3連戦になるので)コンディションを回復するのは難しい。勝ちたいというモチベーションをどれだけ高く保てるか。それによって体を動かせるかどうかにかかってくると思う」と話した。
堅守光った和歌山戦。勝負は最終戦へ
第2戦も和歌山と0-0で引き分けた。Jクラブ空白県からJ参入を目指している和歌山は今大会出場5度目の強豪。新庄は前半、相手のボール回しに苦しみながらも裏への抜け出しとハイプレスで2度ビッグチャンスをつくった。しかし、決め切れない。
