富山県のJR氷見駅近くのコミュニティースペース「ひみりべ。」は4日、「聞き書き甲子園報告会in氷見」を開いた。酒造り、藤箕(ふじみ)作りなど氷見の文化を受け継ぐ名人から話を聞いた地元と首都圏の高校生4人が、取材から学び取った氷見の風土や人の良さ、生きる上で大切にすべきことなどを発表した。取材を受けた名人をはじめ住民らが耳を傾け、報告の感想などを語り合って生徒と交流した。
聞き書き甲子園は全国の高校生が森や川、海で仕事する名人を訪ね、知恵や技について聞き、文章にまとめる活動。2024年度に氷見が対象地域に選ばれ、「ひみりべ。」を運営する一般社団法人D-liveの森豪大さんが名人選びなどをコーディネートした。
次世代を担う高校生の視点で名人の生き方や思いを語ってもらうことで、氷見の魅力再発見につなげようと、森さんが企画した。
船大工・番匠光昭さんを取材した小林華音(かのん)さん(大妻中野高3年・東京)、藤箕作りの坂口忠範さんに話を聞いた杉江寿子(ことこ)さん(順天高3年・同)、酒造り名人・高澤龍一さんを担当した山崎陽斗(はると)さん(氷見高3年)、伝承料理を作る垣地ひとみさんに密着した平塚智也さん(大宮中央高2年・埼玉)が発表した。
小林さんは「少子高齢化が進む氷見で、自然と密接に関わる仕事を学んだことで、環境問題と地域創生に興味がわいた」と話し、杉江さんは「伝統を受け継いだのも何かの縁。縁を大切にして」という名人の言葉に「心が楽になり、将来の視界が開けた」と語った。
森さんは「報告した生徒たちが今後も氷見との関わりを大切にしてくれたらうれしい」と話していた。