稲の病害虫を払う富山県の南砺市無形民俗文化財の「荒木ねつおくり祭り」が21日、同市福光地域の荒木地区で行われた。地元の小学生33人が真夏の日差しを浴びながら、田んぼ沿いでササ竹を振って豊作を祈った。
住民が早朝から手作りした「ジジ」「ババ」と呼ばれるわら人形を乗せた舟に続き、法被姿の子どもたちが出発。ねつおくり太鼓を響かせながら、2・5キロを練り歩いた。厳しい暑さとなったため、例年より距離を短縮し、氷入りの袋を持つなど熱中症対策を取って行った。
児童は所々で立ち止まり、田んぼに向かって「ねつおくるばーい」と元気に声を合わせ、「豊作祈願」「五穀豊穣(ほうじょう)」と書いた短冊付きのササ竹を振った。
荒木ねつおくり祭りは江戸時代の1688(元禄元)年に始まったと伝えられる。ねつおくりは福光地域で広く浸透した風習だったが、祭りとして昔ながらの形を継承しているのは荒木地区だけ。毎年、土用の入りから3日目の「土用の三番」に行っている。