富山県砺波市出町地区の県指定無形民俗文化財「出町子供歌舞伎曳山(ひきやま)祭」が29日、同市中心部で始まった。時折雨が降るあいにくの空模様となったものの、出演する児童9人は情感豊かな演技を繰り広げた。

 出町子供歌舞伎は出町神明宮の春季祭礼で、230年以上の歴史がある。東、中町、西町の3町が1年ずつ持ち回りで曳山を出して奉納している。今年の当番町は東で、本能寺の変を題材にした「絵本太功記十段目 尼ケ崎之段」と歌舞伎舞踏劇の「義経千本桜 吉野山の段」の2演目を披露した。

 出演者9人は3~6年生で東の町内在住のほか、公募に手を挙げた出町小学校の計7人と、ゆかりのある市外の児童2人。華やかな衣装をまとった児童たちが、気迫のこもったせりふと堂々とした所作を見せると、観客から大きな拍手が送られた。3町の曳山がそろう「三町揃(そろ)い曳き」にも大勢の人が詰めかけた。

 「絵本太功記-」で武智光秀役の大蔵柚依さん(出町小5年)は「練習の成果を発揮できた。たくさんの人がかけ声や拍手をしてくれてうれしかった」と話した。光秀の妻・操役の大野舞子さん(同6年)は最終日に向け「泣くところは大きな声と手を震わす動きでしっかり表現したい」と意気込んだ。

 最終日の30日は5カ所で上演する。5月3日は市文化会館と出町子供歌舞伎曳山会館で特別公演を行う。