射水市在住のビデオアーティストWallyは、2023年11月からSNSでは「じおらま富山。」として活動を開始。
街並みをミニチュア風に撮影した動画を発信し、1年強の活動で
インスタグラムとThreadsの総フォロワー数は8万人に達した。その8割が海外からのファンだ。
元看護師の彼が、なぜ日本の地方都市の風景を世界に向けて発信するようになったのか。
その経緯と展望を聞いた。(聞き手・田尻秀幸、撮影・竹田泰子)

——海外のファンが多いそうですね。

 たくさん見てもらうには母数を増やせばいいんです。僕の動画を好きになる人が100人に1人だとして、母数を増やせば視聴者は必然的に増える。そう考えると、ターゲットは自ずと富山や日本ではなく、世界になります。だから最初からコンテンツには必ず英語を添えています。

——海外でのアートプロジェクトで展示された。

 昨年11月にサンフランシスコで開催された「Art in AWE」という展覧会に招待されました。壁を埋め尽くすような大きなモニターで作品を展示する機会をいただきました。僕を呼んでくれたキュレーターのお父さんも「一番良かった」と言ってくれましたし、Appleのデザイナーからダイレクトメッセージをもらいました。

 

 意外な反響というと矢井田瞳さんにインスタをフォローされたのは感動的でした。実は中学生の頃から大ファンだったんです。今年1月の地震の時は、ピエール瀧さんから「大丈夫?」というダイレクトメッセージをいただいたり。特にアーティストからの反応が多いのが興味深いですね。

 

——Threadsのフォロワーは今年に入って1万人増えたそうですね。このブレイクのきっかけは?

 年末年始は世界中の人が仕事をしないで、スマホを見る時間が増えますよね。その時期を狙いました。そのタイミングまでに数カ月かけて3000人ほどの濃いファンをつくった上でそこから波及させようと思っていたんです。狙い通り、ショート動画2本が200万回以上再生される結果になりました。世界中で撮影手法がパクられているような状況です。

 

 SNSでの発信に積極的なのは、ゴッホよりピカソを目指したいから。ゴッホは生前1枚しか絵が売れなかったけど、ピカソは戦略的に自分の作品をプレゼンして売っていきましたよね。やっぱり生きているうちに評価されたいでしょう?(笑)

——なぜミニチュア風に富山を撮影しようとしたんですか。

 チャップリンの「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇である」という言葉からインスピレーションを得ました。自分のことをちっぽけだと思えるような作品を撮ったら面白いかなと考えました。そこで思い付いたのが、ミニチュアのようにして撮影するという手法です。富山のありふれた風景も、遠くから見たらかわいらしくなる。

 撮影には中国製のチープなティルトレンズを使用しています。独特の歪みが出るんです。

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