高岡工芸高校3年の高橋洸さんと、渡邉楽さんからなるお笑いコンビ「19秒芝生舐め」が、高校生の漫才日本一を決める「ハイスクールマンザイ2024」で優勝した。全国から参加した849組の頂点に立った。共にお笑いだけでなく、アートにも青春を捧げる異色のコンビにインタビューした。(聞き手・田尻秀幸、撮影・竹田泰子)

——優勝の瞬間はどんな気持ちでしたか。

高橋 これまで感じたことのないほどの驚きでした。フワフワした気分で横を見たら、
相方が号泣して膝から崩れ落ちていた(笑)。

 

渡邉 「うわーっ」ていう聞いたこともない高音が口から出て、地面に突っ伏して泣いてました。準決勝に行った時は「決勝に行けたらいいな」くらいだったんですけど、決勝にいざ行ってみると、やっぱり優勝したくなったんです。

——審査員の反応は?

高橋 オール巨人さんから「新しい漫才の形」って評価されました。高校生はコント漫

 

才が多いから、その中でしゃべくりっていうことで目立ったんでしょうね。しかも一般的なしゃべくりじゃなくて、リズムの要素も強かったので。ラップみたいと言ってくれる人もいました。

——お二人とも美術を学んでいますが、お笑いとアートの共通点はありますか。

 

渡邉 メッチャありますよ。まずアートとお笑いの違うところは、お笑いは当然人を笑わせることが目的。しかもしゃべって即座に反応が返ってくる。アートは、明確な目的はなくて、いろいろな感情を引き起こして、問題提起もする。僕が両方で心掛けていることは、記憶に残るもの、忘れられないものを作ること。周りと同じじゃないものを作る。それは漫才でもアートでも有効でしょう。どっちにしても自己満足的というか、伝わらない人を排除するようなものは作りたくないですね。両方の根幹では人を驚かせたり、楽しませたりしたい。

高橋 芸術でも漫才でも、詳しくない人に驚いてもらいたいですよね。両方ともコミュニケーション。それ自体がいろいろなつながり
を生みます。「生きている」っていう感じがします。

 

——今後の展望は。

渡邉 僕は東京の美大に入ってアートを学びつつ、早稲田大学の有名なお笑いサークルに入って腕を磨きたい。アートと漫才のどちらを主軸にしていくか分からないけど、両方やっていきたい。

高橋 自分は京都の大学に行くつもりなんですけど、まずは美術をちゃんとやって、卒業してまだお笑いに興味があったらやってみたい。今回の副賞でNSC(吉本総合芸能学院)の特待生になれるので、その権利を使うかどうか。それは4年後の自分が決めます。その決断が今から楽しみですね。

——2人の受験がうまくいけば離れ離れになりますけど、コンビとしての今後の活動は。

高橋 結局は友達なんで解散する必要もないです。一緒に漫才をしてる友達って感覚なんで。

残り296文字(全文:1606文字)