20周年を迎える劇団「ハイバイ」が来年1月代表作『て』を引っ提げて、
富山に初登場する。劇団を主宰する岩井秀人さんは富山にルーツがある。
自身の家族を題材に、家族の分かり合えなさを描く。
演劇の新たな可能性を追求し続ける岩井さんの思いを聞いた。(聞き手・田尻秀幸、撮影・竹田泰子)
日程:2025年1月8日(水)18:30、9日(木)13:00 ※開場は各回開演の30分前
会場:オーバード・ホール 中ホール
料金:一般 5,500円、U-25 3,000円[全席指定・税込]
チケット:アスネットカウンター 076-445-5511(10:00〜18:00/定休日:月、月曜が祝日の場合は翌平日、年末年始)
公演について:(公財)富山市民文化事業団 総務企画課 076-445-5610(平日 8:30〜17:15)
——岩井さんは富山にルーツがあるんですよね。
10年ほど前に亡くなった父が氷見出身ですね。でも、氷見にはおばあちゃんに1度会いに行ったぐらいなんです。父はあちこち出かけるのは好きだったんですけど、なぜか故郷には足を運ばなかった。その息子が今回、富山で公演できるのは不思議なご縁だと思っています。富山への思い入れは、むしろ今できました(笑)。

——来年1月、富山で公演する『て』という作品は、どんな内容ですか。
家族の物語です。バラバラに暮らしていた子どもたちが、あるきっかけで歩み寄ろうとする。でも、暴力的だった父親の横暴さは年を経ても変わっておらず、前よりもう少し仲が悪くなるというストーリーです(笑)。
前半は次男の視点、後半は母の視点で描きます。同じ時間、同じ場所でも視点次第で見え方が変わるということを示す作品です。
——作品は実体験と重なる部分も多いと聞きました。
きょうだい全員、父から殴られていました。父は医師で社会的なストレスが大きかったんだと思います。体力があり過ぎて病院で頑張ってしまう分、無理がたたってお酒もかなり飲んだ。今思えば、いろんな悪条件がそろってしまったのかもしれません。

——劇中で父親を演じることもありますね。
「1ミリも理解できない父親を演じるなんて」と最初は思っていました。でも、実際に演じてみたら、そこまで難しくない。逆に演じやすいくらいで、ショックでしたね。
「父のようにはならないぞ」ってずっと思っていたけど自分の根っこにはあの血が流れている。でも、あの父を見ていたからこそ、そこに歯止めも効いている部分もある。僕は絶対に、自分の子どもを殴れません。
——『て』が生まれたきっかけは?
当時劇団が立ち上げ5年目で、演劇の聖地である下北沢に進出するというタイミングでした。でも、出がらし状態で僕はまったく書きたいものがなかった。「もし書けるとしたら、あの時の体験だけだな」と思っていました。それが『て』の題材になった話です。
あまりにも個人的な物語だったので、かなり不安でしたが、ふたを開けてみたら劇場の入り口から外側まで、当日券のためにお客さんが行列になっていました。その翌年にはすぐに再演も依頼されました。

印象的だったのは、お客さんが公演後に自分の家族の話をいきなりし始めたことです。