秋の味覚として人気が高いサンマ。近年は不漁続きで価格が高騰し、もはや大衆魚とは呼べない高根の花となりつつあった。ただ、今年は水揚げが好調で全国の漁獲量(8月)は昨年の4・5倍以上。県内では昨年より数百円安く販売する店舗もあり、消費者は「安いのでよく食べている」と歓迎する。専門機関によると12月までの漁期の後半には漁獲量が落ち込む見通しなので、今が買い時と言えそうだ。食通によるエッセー、コラムを参考に、記者がおいしい食べ方についても検証してみた。

秋の食卓に欠かせないサンマ

水温上昇、乱獲で不漁

 全国さんま棒受網漁業協同組合(東京)によると、国内のサンマ水揚げ量は2008年に約35万トンを記録した後は減少に転じ、22年は約1万8千トンまで激減。価格の高騰が続いていた。不漁の要因として、温暖化による海水温の上昇や、大挙した外国漁船が一網打尽に獲っていくことが指摘された。

2008年をピークに漁獲量は低迷が続いた

出漁前倒しで豊漁

 そんな中、漁業情報サービスセンター(東京)によると、今年8月の全国のサンマの水揚げ量は2611・1トンと前年同月の573・8トンに比べ、4・5倍以上になった。中島漁業(魚津市、中島泰成社長)の「第八珠の浦丸」も拠点とする北海道根室市の花咲港が最も漁獲量が多い。

今年8月、花咲港で水揚げされたサンマ=北海道根室市

 背景にあるのは、サンマ漁の出漁解禁の前倒しだ。昨年まで大型漁船の解禁は8月20日だったが、今年は船体の大小にかかわらず同10日に統一された。富山市公設地方卸売市場では、8月のサンマの取扱量は3741キロで、前年同月の5・6倍に達した。

安値を喜ぶ消費者

 水揚げ量が増えたことで、食卓に並びやすくなった。

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